第37話 宿場めぐりの始めは

文字数 868文字

 最初の発想は、近所の町中散歩をした時だった。北九州市折尾の丘の細道を、
偶然見付け「長崎街道」の石標があった。こんな所に昔の儘の道があると気づき
感動した。好奇心に火が付いた。長崎街道の27宿場を小倉から順番に尋ねて行
ってみようと思った。
 小倉・黒崎・木屋瀬は地元で再三行った所である。目新しくもない場所である。
内野宿からは全くの初体験の宿場であった。
 初めての所は、どこも印象深い。まさに旅である。ふだんの生活を離れて別の場
所に出かける。新鮮な感じを受け、頭の中に光景が刻まれていく。
 宿場で生活をしている人々と出会い、話を聞けばさらに想像が膨らむ。「自分の
住む地域に興味を持つ人が来れば、知っていることを、熱心に教えてくれる」。
 福岡・佐賀・長崎の地図を九州道路マップからコピーし貼り付け俯瞰図を作った。
紙は細長くなり部屋の広さでは足りなく、巻物のようになった。訪ねた宿場に赤印
を点けていく。進行する様子が手に取るようにわかり、思いが広がる。
 「旅は道連れ、世は情け」という。旅をするには同行者がいて互いに助け合う方
が心強く、世の中は互いに思いやりの心を持つのがよいと国語辞書に書いてある。
街道の旅には妻と同行している。宿場で合う人々も怪しまず、親切で、話してくれる。
 長崎街道も小倉から20宿場の嬉野宿までたどり着いた。佐賀の外れに来ると、
まずは佐賀県の宿場を制覇したいと思った。佐賀の小田宿から有明海沿いに分岐
するのが多良海道である。
 六角から湯江の7宿を通り、長崎街道の永昌宿に合流する。有明海沿岸に
点在する宿場であり、光景や生活が海に関わって来る。
 次は多良宿であり有明海の世界に侵入していく感じであり、わくわくする。
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