第87話 筥崎宮と天井桟敷 唐津街道

文字数 1,109文字

 箱崎宮の中にある清明殿は結婚の挙式をあげることも出来るのだろう。本殿前の広場に金襴緞子の花嫁衣裳を着た女性と羽織袴の男性が歩いていた。事前の写真どりをしているようだ。10月3日というのに、外気温は32度ある。巨木の木蔭は涼しく、我らは清明殿の軽食喫茶もできる店内に座り、シホンケーキにクリームとブドウの皿にアイスコーヒを注文し、開け放たれた大ガラス窓から境内を眺めていた。シナモン風味と柔らかいシホンケーキ&クリームを食べ、今までで一番シホンケーキが美味しく、再度、食べたいと思う。店売りでなく、披露宴で料理するシェフが作っているという。
 店の女性に「神社前にある郡境石碑の場所を尋ねた。「探してみます」とスマホで見つけてくれた。「神社を出て左に少し歩いたら右手にパン屋さんの店先にあるようです」パン屋は古めかしい時代の建物で中に入るとショウケースに各種パンが並んでいた。若い店員が4人位白頭巾をかぶり客の接待をする。石碑の紙を示すと「ここではないですが案内します」と外へ出て、2軒先に行き石碑を指で示した。「ありがとうございます」と言い、二階を見上げた
 古い建物の傍に石碑があり、「従是東表粕屋郡」と彫ってある。気になる店は、居酒屋風であるが、店内はガラス越しに見える。和風の家に洋風の居酒屋のような感じである。店名は「天井桟敷」と書いた看板がある。中に入るとワイシャツに黒チョキに黒ズボンの男前の店主がいらした。箱崎宿について尋ねると、親切に対応してくれた「前の通りは唐津街道で宿場は、反対方向が宿場でしょう。この郡境は文久年間のものですが、現在でも町の境界です。向こうが箱崎町でこちらは馬出町と書き、まえだしと言います」爽やかな感じで話してくれ好印象を持てた。
 天井桟敷という店名はと問うと「舞台を見るのに安い席ですが、通の人が通う所という意味があります」という。店内は日本の古風さとカウンターバーがありワインや洋酒にカクテルなどもあり、西洋風なイメージである。建物は江戸時代の建物で間口は狭く奥へ長い建物である。奥のガラス越しに、中庭が見え、お縁や窓が江戸を思わせる。
 36年間この店は続くが、私で3代目ですという。コロナで営業も厳しいようだが、「昨日からやる気をだして営業を盛り上げていくつもりです」と話された。名刺には天井桟敷 店主:木下雅文。約150年前の古民家を改装したレストラン&バー 東区馬出5-35-1。 近くに来られたら寄って下さい。ホームページもあります。15時からやっているそうです。究極のワインと自慢のチーズフォンデュ、食べて飲んでみたいですね。
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