第95話 由加神社本宮  岡山備前藩

文字数 816文字

東京に住む娘が岡山に来たついでに、御朱印帳が欲しいと言う。それも由加神社本宮で販売している、デニム表紙の物が手に入れたいらしい。レンタカーで、アイビースクエア―から倉敷市児島に向かった。山の中に入って行くと、日本一備前焼大鳥居という大物の前に着いた。倉敷市児島由加山にある厄除けの総本山である。「應必求有」の額があるらしい。「求めよさらば与えん」と同じことだろうか。備前藩主池田継政(二代)以降、「由加大神さま」「権現さま」への信仰が厚く、5月・9月には藩主自らが参拝されたという。その時、参拝・祈願された建物が由加神社本宮本殿である。山の坂道に家の屋根が段々に続いている。見たことのない建物である。家の中に階段があり、雨の日でも参拝できるよう屋根が付いている。上層階で右折できるように建物が続き、本殿の中まで入れるのである。外には賽銭箱があり、下から石段で庶民の参拝客が登ってくる仕組みになっている。私達も拝観料を払い、板の間から踏み段を登っていった。殿様になったような気分になる。奥の院の畳の間で、厳かに拝礼し、厄除けを祈った。一階部分の備前藩主池田候が参拝の折、お泊りなった客殿がある。上段の間に上々段の間まである。襖絵は円山応挙などの作である。廊下の陳列にバケツのような大きさの大茶碗が何個も並んでいる。大茶会というお茶の儀式で直径30cm高さ20cmの茶碗で、10名位で回し飲みするらしい。
「一味和合」といい、1239年奈良西大寺上人が始めたという。蓮台寺では西大寺の許可を得て、この茶儀式をいまでも、有料で行っている。神仏混合のお山であり、由加神社本宮と由加山蓮台寺が存在する。江戸時代から「ゆがさん・こんぴらさん」 両まいりの風習が全国に広まったという。山の上から瀬戸内海の向こうに金比羅山がみえるようだ。娘はデニム表紙の御朱印帳をゲットし、願い事の木札に、願い事・住所・氏名を書き・300円を賽銭箱に入れていた。
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