地球の彼方と宇宙の彼方

文字数 858文字

 地球上で平地とか山とか海とか、そういうものを一切無視して、ある方向にどんどん進んだとします。
 まあこれはヘリコプターなら可能ですね。
 ユーロクプターという会社の「エキュレイユAS350B3」というヘリコプターはエベレストの山頂に着陸したそうですから、これなら天候とか燃料補給とかは別として、行く手に何があろうとも、とにかくまっすぐにまっすぐに飛び続けることが可能です。

 さてそれで、ひたすらまっすぐにまっすぐに飛び続けると、やがて元の場所に戻ることが出来ます。
 地球が丸いから。
 当たり前です。
 だけど地球が丸いということを知らない(天動説の世界に住んでいるような)人々にこのことを話しても、きっと理解できないと思います。「そげなことしたらきっと地の果てにたどり着くだけだんべぇ」とか言って。


 さてさて、今度はとても高性能な宇宙船で地球を飛び立つとします。
 そしてまっすぐにまっすぐに延々と飛び続けます。
 宇宙船の後ろには窓があったとして、その窓からは常に地球が真後ろに見えるように飛び続けるのです。

 やがて地球は小さくなって見えなくなるかもしれませんが、超高性能の天体望遠鏡を宇宙船の後方に備え付け、それをで地球を観測し、そして常に地球から「まっすぐに遠ざかっている」ように、宇宙船を飛ばし続けることは、理論上可能だと思います。

 ところがこの宇宙船でずっとずっとこんな感じで飛行を続けると、やがて地球に戻ってくるのです。
 つまり宇宙船の後方に見えていたはずの地球が、いつのまにか前方に見えてくるのです。

 だけどあなたは、きっとそれを理解できないと思います。
 あなたはきっと、「そげなことしたらきっと宇宙のかなたかにたどり着くだけだんべぇ」とか言って。

 あたかも地球が「丸い」ということを知らない人が、ヘリコプターで真っ直ぐに飛び続けると元の場所に戻るということが理解出来ないように、宇宙が「丸い」ということを知らないあなたは、きっとこのことを理解できないはずです。

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