月の満ち欠けの真実

文字数 1,016文字

「え~、月は宇宙空間で太陽に照らされて、従って照らされている部分は明るく、その反対側は暗いのです。だから、例えば太陽が月を、向かって右側から照らされていると仮定して、そんな状態で月を見ると、月の右側は明るくて、左側は暗い訳ですね。つまりその状態が半月と言えるのです。言い換えると、たとえば夕方、西の空低く太陽があったとして、月は南の空に出ているとすると、今話した例と同様になり、月の右側、つまりこの場合月の西側ですが、その西側半分が明るくて、東側半分は暗いという状態になりますよね。つまりこれが、夕方南の空に月が出ているときに、月が半月に見えるという仕組みという訳なのです」
「先生は一体何をでたらめ言っておられるのですか? いくら先生が天文台の大先生だったとしても、嘘はいけませんよ!」
「うう、嘘? 私は嘘なんて言っていませんよ!」
「それじゃ、このボールを御覧なさい。これは野球の軟球ですね。これを月に例えますよ。そして今、この部屋の真上に電灯がありますから、それを太陽に例えますよ。で、確かに軟球の上半分は明るいですが、下半分はそんなに暗くなっていますか? 結構見えるじゃないですか! ちっとも半月ならぬ『半軟球』には見えませんよ!」
「そう言われてもそれは、宇宙空間と部屋の中では…」
「先生のお好きな科学には普遍性があるのです! 例えそこが宇宙空間であれ、部屋の中であれ…」
「はぁ」
「だから本当は、お月様はチーズで出来ているのです!」
「ちちち、チーズ?」
「そしてお空の星たちは、実はチーズを食べる沢山のネズミさんたちの目なのです」
「ほほ、星が、ネズミたちの目?」
「当たり前です! そして満月の日以後、ネズミさんたちはお月様を食べ始めます。そして半月ほどでお月様を食べつくしてしまいます」
「ネズミが月を、食べつくす…」
「そして新月の日から半月を掛けて、今度はお空では、たくさんのチーズおじさんたちが大活躍し、たくさんのチーズを作り、それをお月様に運んでいきます」
「はぁ、たくさんのチーズおじさんが…」
「そしてその間、お空のネズミさんたちはとてもおりこうさんですから、お月様を食べるのをじっと我慢していて、そしていよいよ満月の夜になるとお月様は完成し、ネズミさんたちは大喜びで、再びチーズ、つまりお月様を食べ始め、そして半月でお月様を食べつくし、そして新月になるのです。それから再びチーズおじさんたちが、あらためてチーズを作り始め…」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み