ハナミズキ定食

文字数 547文字

 ハナミズキ定食という看板に魅かれ、俺は店に入った。
 きれいなハナミズキの、白やピンクの花びらが、俺の目に浮かんだ。
 それから俺はテーブルに着き、やってきたウエイターに早速注文すると、程なく料理がきた。
「お待たせいたしました。こちらがハナミズキ定食で御座います。お盆は最高級のポリカーボネイト製。どんぶりは極上の有田焼。そしてご飯は最高の新潟産コシヒカリで御座います」
「あの…、どんぶりにご飯だけ?」
「左様でございます。ちなみに当店では各種花粉をパウダー状にいたしまして、店内に飛散させております」
「花粉を…飛散? 一体何のために?」
「そこで花粉症のお客様ですと、早速ずるずると鼻水が出てまいります」
「そういえばずるずるしてきたぞ!」
「そこで鼻をすすりながら、このご飯をお召し上がり頂くと鼻水の塩気とご飯が程よくミックスされ、美味しくご飯を召し上がって頂けるかと存じます」
「鼻水とご飯をミックス?」
「左様でございます」
「やいやい! するってえと、俺の鼻水をおかずに飯を食えってか? おえ~」
「左様で御座います」
「それじゃハナミズキじゃなくて鼻水定食じゃねえか! どこがハナミズキなんだ。最後の『キ』が余分なんだよ!」
「え~、『キ』につきましては、どうぞ『気』なさらず、お召し上がりくださいませ」
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