笑い声の絶えない食堂

文字数 384文字

 その食堂は深い森の奥にあった。
 その店からは、いつも笑い声が聞こえていた。
 いつしかそのことが評判となり、多くの人々が、わざわざその森の奥の食堂を毎日のように訪れた。
 そしてその食堂を訪れる人は日に日に多くなり、今や大変な盛況ぶりとなっていたのだ。
 そんなある日。
 私がその食堂を訪れてみると、出された料理を囲んで人々は唄い笑い、そして踊っていた。
 中には何と裸踊りをやっている人もいた。
 とにかく店中の人々は笑い、そして店はその笑い声であふれていたのだ。
「あははははは」
「うふふふふふ」
「えへへへへへ」
「おほほほほほ」

 それからふと私は、それはたんなる偶然だったのだが、その店の調理場をのぞいてみた。
 すると、何故かそこにはとても大きなザルがあり、中には山盛りの毒キノコが置いてあった。
 そして、調理場にいたその店の店主も、一緒に笑っていた。
「いひひひひひ」、と。


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