出来損ないのタイムマシン(バージョンB)

文字数 1,310文字

 ええと、これは前作の別バージョンで、設定は同じです。
 つまり続編というか、別バージョンというか、ようするにともあれ、読んでない方は前作を読んでから、この作品をお読み下さい。といっても全部とは申しません。
 ペットサークルでの実験が失敗したところまででいいです。
 そしてこの話はその直後から始まります。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 そういう訳で俺は、この出来損ないのことでへこんだし頭を抱えた。
 タイムマシンとは名ばかり。
 ひたすら「現在」に留まる以外にない「タイムマシン」
 とにかく! 行けども行けども、「現在」に居続けてしまう!
 だめだこりゃ
 それから夜になっても「いや~~な気分」が俺の前頭葉を不法占拠し、とうとう実効支配までしはじめた。
 出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない出来損ない…

 で、そういう訳で俺はその夜、一睡も出来なかった。
 そしてとうとう朝が来て目覚ましが鳴り、起きなければいけない時間になった。
 今日は仕事なのだ!
 仕事?
 タイムマシンの研究者が?
 そう思われるかもしれないが、俺はしがない「アマチュア発明家」なのだ。
 食っていくために普通の仕事を持っている。
 だから出勤しなければいけない!
 でも一睡もしていない!
 最悪!

 だけどそのとき、俺の脳裏にある素晴らしいアイディアが浮かんだのだ!
(そうだ! いまからあのペットサークルで寝たらいい)
 そういう訳でおれは、夏だったので薄手の掛け布団だけを持ち、タイムマシンのコントロールボックスが繋がれたままの、件のペットサークルのところへ行き、掛け布団を折りたたんで敷き、中に入り、コントロールボックスに繋がったキーボードで「作動時間10時間」と設定して、それからまだ置いてあった目覚まし時計も10時間後にセットしてから、やや体を丸くして、豪快に寝ることにした。
 何分、大型犬用のペットサークルで、しかも俺は人間として小型な方で、だからそこで寝るのに左程の不自由はなかった。
 で、爆睡!
(ガ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!)

 それから俺にとっての10時間後、目覚ましが鳴り、俺は起きた。
 多少体は痛かったが、頭は熟睡感ばりばりだった。
 もちろんペットサークルの外では、予定通り1分たりとも時間は進んでいなかった。
 そして俺はペットサークルを出て、朝飯を食べ、気分爽快に仕事へと向かった。

 さてさて、ここで考えて頂きたい。
 これを応用すれば、「驚異の寝具」が作れるのではないのか?
「外部時間0分」で10時間眠れるんだぞ!
 こいつは売れるぞ!!
 それから仕事へ向かう途中、俺はこれを応用した寝具のキャッチフレーズを考え始めた。

 寸暇を惜しんで仕事する超忙しいビジネスマンなんかに断然お勧め!
 僅かな時間で驚異的熟睡感が得られる、信じられないような驚異の寝具です… 

 
 3へつづく、ってか、新たな別バージョン。
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