コンビニ(ろ)

文字数 844文字

 彼はコンビニ経営で苦労していたが、売り上げはいまいちで、もうタダ働きに同然だったのだ。
 彼は頭を抱えた。

 ちなみに彼は以前、コピー機の会社に勤めていて、技術系で、だからコピー機には大層詳しかったのだけど、脱サラしてコンビニを始めたのだ。

 そんなある日、彼は魔がさした。
「そうだ! 物凄いコピー機を作ってやろう。評判を呼んで、コンビニにお客がわんさか…、だけどそれだけじゃない。いひひひひ」


 彼はコンビニ経営で苦労していたが、売り上げがいまいちで、もうタダ働きに同然だったのだ。
 彼は頭を抱えた。

 ええと、彼は別人だ。
 コピー機の会社に勤めていた訳ではない。
 金属製品の会社だ。
 技術系で、とりわけ金属加工では高い技術を持っていたのだけど、脱サラしてコンビニを始めたのだ。

 そんなある日、彼も魔がさした。
「そうだ! 俺の金属加工の技術を生かし、物凄くリアルなやつを作って店に置いて、それを見てお客がわんさか…、もちろん売ってもいいし、だけどそれだけじゃない。いひひひひ」


「やったぞ!」

 ええと、彼はコピー機の会社に勤めていた彼だ。
 そんな彼はついに画期的コピー機を完成した。

「どうだ! これでコピーすればめちゃくちゃリアル!」


「やったぞ!」

 こちらの彼は、金属加工の方。
 彼もついにやったのだ。
 めちゃくちゃリアルな金属製品。

「どうだ! これなら誰も偽物とは気が付くまいて」


 それから程なく、金属加工に成功した方の彼が、とあるコンビニへ押し入ると、こう言った。
 ともあれコンビニ経営でお金に困っていたことも無関係ではなかったのだが…

「手を上げろ! 金を出せ!」
(まさかこれが偽物の拳銃とは思うまい。いひひひひ)

 ちなみに押し入られたほうのコンビニにいたのは、コピー機を完成した彼だった。

「おお、お金ですね。そそ、それじゃ、100万程…」
(まさかこれがコピーした偽札とは思うまい。いひひひひ)

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