画期的なガス漏れ警報器(YouTube配信中)

文字数 724文字

 最新の科学技術を結集して開発されたガス漏れ警報機であった。
 ガスクロマトグラフィーと最新の遺伝子工学と燃料電池に用いられるガス交換幕を利用したもので超小型、そして極めて感度が高かった。
 たとえば装置の前でこっそりおならをふったとしても、たちどころにガスを検出するほどだったのである。
 しかし実は開発者が頭を悩ませていたのは、ほかならぬ警報音のことであった。
 ガス漏れ警報機はブザーが鳴ればいいという簡単なものではないのである。
 例えばその御家庭の方が外出中にガス漏れが生じたらどうなるか。
 いくらブザーが鳴ったところで、どうにもならないではないか。
 やはり隣近所の人々に知れ渡るくらいの大音響が必要だったのだ。
 ところが前にも述べたように、このガス漏れ警報機は超小型である。
 しかし大音響を出すには大きなスピーカーを備え付ける必要があるが、そもそもこの機械に、そのようなスペースなどあろうはずもない。
 しかも大型のスピーカーユニットは、大型のスピーカーボックス(エンクロージャともいう)に入れてこそその本領を発揮できるのだ。
 そういう訳で、開発は暗礁に乗り上げてしまったのだ。
 大音響の警報音!
 しかもコンパクトな装置で…

 そんなある日、スタッフの一人がコロンブスの卵的すばらしいアイディアを提案した。
 そしてこれなら、極めてコンパクトかつ簡単な装置で、豪快な大音響が出せたのである。
 そういう訳で一気に開発が進み、本日ここに製品化を迎えることとなった。
 そしてその画期的アイディアは、自動車用スパークプラグを用いたものである。
 つまり装置がガスを検出すると、それに連動し、そのスパークプラグに火花を飛ばし、漏れたガスに着火するというものである。
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