コンビニ(へ)とりあえず新作

文字数 821文字

「ええと、お弁当は温めますかぁ?」
「お弁当は…、温めますかぁだとぉ?」
「あ、は、はぁ…」
「お前はそんなことも分からんのか! このバカモンがー! わしはいつも弁当を家へ持って帰って、しかるのちに電子レンジでチンして、しかる後に茶の間で食うんだ。しかも家で食うからその箸もいらん! 全くもう最近の若い連中は…、そうかそうか、おまはん、Z世代ってやつだな。まったく箸にも棒にもかからんな。とにかく!…」

 俺が店内の商品棚をチェックしていると、レジの方で何やらもめ事が起こっていた。
 俺はこのコンビニの雇われ店長。で、レジに立っているのは、今日からバイトを始めた子。そしてレジで豪快に吠えているのは、常連のキチキチクレーマージジイ!
 それで、これは豪快にやばいと、俺は秒でレジにはせ参じた。

「大変申し訳ありません。ええと、レジ袋はいつもご利用でしたよね。へへへ。それから、ええと、ヘ~イお茶は、今日は?」
「おうおう、そうじゃそうじゃそうじゃった。忘れておったわい、わっはっは」
 それで俺は、レジ横のあたたかぁ~いと書いてあるケースから、350mlのあつあつのヘーイお茶を取り出すと、弁当と一緒に袋に入れた。
「ええと、これで商品はお揃いですかね?」
「そうそうそれで良い。わっはっは。しかぁ~し!」
「しかぁーし?」
「そうじゃ。あ~、しかぁーし!レジに就く以上は客のニーズをしっかり把握してもらわんとぉ…」
「はぁ、大変申し訳ありません。しかして何分この子は、あ~、今日が初仕事なもんで…」
「あ~、たとえ初仕事とはいえ、あ~、客の望むものを先回りして、あ~、客の心をしっかり慮って、あ~、客の心を先回りするかの如くしっかりと深読み出来るようになり、しかる後にレジに赴いて欲しいものじゃな。わっはっは」
「そっ…、そうですね。あはは♬ しかして何分この子は入職して日が浅う御座いまして、で、えぇ~、本部でのテレパシーの研修もまだ済んでおりませんので、わっはっは」
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