キャットフード定食

文字数 565文字

 私は入り口にある、上側に蝶番があるという不思議なドアをくぐって…、とにかく不思議なドアだから、「開ける」ではなく、のれんみたいにそれをくぐって、そして中に入った。
 私が入ると、その不思議なドアはしばらく「ぱったんぱったん」とゆれていた。
 それから中に入ってメニューを見てみると、お魚の料理なんかが多かったけれど、何となく私はその「キャットフード定食」というメニューに興味がわき、それを注文することにした。
 しばらくして、店員が持ってきた。
「お待たせしました。キャットフード定食で~す」
 だけどそれを見て、私はとても驚いた。
「キャットフード定食って、これ、ただのキャットフードじゃない。それも安っぽいプラスチックの平べったいお皿に入って、それとあとはお水だけ。しかもお水はステンレス製の、やっぱり平べったいお皿に入ってて、それに食べものを直接床に置くって、一体どういうこと? で、このお店にテーブルや椅子はないの? 一体どうなっているの?」
「あなたは何を言っているの? あなたの頭の両側にある、三角形のかわいいお耳は何? 自分で触ってごらんなさい」
「三角形のお耳? あれれ、本当だ」
「それにほっぺたの両側にあるポヨンポヨンのおひげ」
「おひげ? あ、本当だ」
「それにしっぽ!」
「あれれ、私、しっぽついてる」
「だってあなたは猫なのよ」
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