公衆トイレの隣にあるレストランα

文字数 866文字

 街のとある一角に、その公衆トイレがあった。
 公共の施設、という感じでもないが、入り口には(いつでもご利用下さい♪)と書いてあり、結構清潔な感じで、人通りの多いところでもあり、毎日結構な数の人々がそこを利用していた。

 その公衆トイレと建物がつながって、その隣にはレストランがあった。
 トイレの隣にレストラン? 

 だけどその公衆トイレは結構清潔だし、それに考えてみれば、レストランの中にだってトイレがあるのが普通だし、だからそういう状況に全然悪い印象はない。

 ちなみにそのレストランには、何故かトイレはなかった。
 でも、隣に公衆トイレがあるから全然問題ない。
 というか、その公衆トイレはレストランの経営者が作ったのだろうというのが、もっぱらのうわさだった。

 人々の便益に供すると同時に、すっきりしたところで「お、レストランだ。食事でもしていくか」という感じで、レストランに入る人もちょくちょくいるようだった。
 つまりそういった効果を狙って、公衆トイレとレストランを「コラボ」させているという解釈も成り立つではないだろうか。

 そんなある日、私はそのレストランと公衆トイレの経営者に話を聞く機会があった。
 いかにも発明家という感じの少しだけ、というか、かなり異様な感じの人だった。

「私が公衆トイレとレストランを併設したのは、ある機械を発明したからです。この機械は『物質時空逆走機』というものです。この機械の入り口に、ある物質を入れ、機械を作動させると、その物質の周囲の時空が逆走し、そうするとつまり、あ~、平たく言えば、その物質において時が逆に流れ、そうすると、ぶっちゃけ、その物質は数日前の姿に戻り、機械の反対側にある出口から出てくるのです。で、トイレにやって来た人々が『放出』した物質を機械の入り口に入れると、それは数日前の姿に戻って、機械の出口から出てくるわけです。それが何に戻って出てくるかって? お分かりですね。だから私は公衆トイレにレストランを併設することにしたのですよ。いひひひひ」


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