素晴らしいアイディア
文字数 1,603文字
件の小惑星落下事件については茶トラ先生と協力し、それを回避できそうだ。
つまり茶トラ先生が開発した(手回り品を魔改造して組み合わせた)宇宙トラクタという優れものを利用できたからだ。
で、その宇宙トラクタはいまその小惑星上にあり、小惑星の軌道を少しずつ少しずつ変更中である。
まあそれはそれでいいのだ。
で、何がすばらしいアイディアか。
実はおれは「タイムソファー」という代物を作ったのだ。
といっても少しも目新しいものではない。
これまで代々「タイム人力車」「タイム蒸気自動車」、そして「アタゴの動く家」を完成させた訳であるが、これらに共通するのは「何時でも」と「何処でも」に瞬間移動という機能だ。
そしてアタゴの動く家だけは「根回し機能」とか「事前調査」とかいう大層な機能が加わり、移動した先に「入居」できた訳だ。
しかしタイム人力車なんかは「入居」は出来ない。ただ希望する「何時」と「何処」へ瞬間移動するだけだ。
だから行った先が大風の吹く富士山頂だろうが銭湯の女湯だろうが、機械としては「知ったこっちゃない」のである。
それは当たり前だし、それはそれでよい。
そんなことはどうでもよいのであるが、ともあれ「タイムソファー」だ。
ああ、その前に少し物理学的うんちく。
実はアインシュタインの特殊相対論的には、遠く離れた二点間における「同時性」とはもはや意味を成さないのである。
そしてそれこそが、このタイムソファーを作った最大の理由である。
そしておれはそのタイムソファーを、地下の実験室に収納されたアタゴの動く家の「リビング」とおぼしき場所にでんと据えたのだ。
そして思い出していただきたい。
以下にアタゴの動く家の第1話を一部引用する。
つまりおれはアタゴの動く家で世界中に「住んだ」のである。
それは…
最初はヘルシンキ大聖堂に程近い場所だった。
ヘルシンキ大聖堂は白壁に青い屋根の、シンプルだが美しい建物だ。
そしてここを訪れるのは、おれの日課になった。
それとバルト海沿いの市場を散策とか。
ちなみに、街中にムーミンがあふれていた。
お気に入りになり、しばらくそこに住んだ。
それからオーストリアのハルシュタットへ移動した。
あえて少し古い時代にした。
空気がきれいだ。
湖畔の街並みが美しい。
毎日湖を見るだけで幸せになれた。
次はギリシャのカントリーニ島。
白壁に青屋根に統一された建築物がコバルトブルーの地中海に面して立ち並ぶ。
見ていて飽きなかった。
それから中世のヴェネツィア。
水上に並ぶ街が美しい。
そのころはヴェネツィア共和国の首都であり、国としても地中海では大きな存在だった。
独特の景観の美しさから「アドリア海の女王」と呼ばれた。
それから火星へ行き、小惑星落下前の北ドイツへ行き、そして小惑星…
つまりアタゴの動く家に据えられたタイムソファーがあれば、おれはそのソファーに座ったまま、これら全ての場所にあるアタゴの動く家へと瞬間移動できるのである!
いいですか? アタゴの動く家はたった一つしかないのだけど、それにもかかわらずアタゴの動く家は世界中に存在している。世界中どころか宇宙にも。そして過去にも未来にも。
それは「同時に」だったり「時を隔てて」だったりするけれど、そんなことはどうでもよいのである。
〈アインシュタインの特殊相対論的には、遠く離れた二点間における「同時性」とはもはや意味を成さないのである〉
だからおれは世界中に(宇宙にも)建っているアタゴの動く家へと、タイムソファーに座ったままで、いつでも自由に移動できるのである。
だからおれは世界中と、それから宇宙にさえも、多数の別荘を持ったことになるのだ!
つまり茶トラ先生が開発した(手回り品を魔改造して組み合わせた)宇宙トラクタという優れものを利用できたからだ。
で、その宇宙トラクタはいまその小惑星上にあり、小惑星の軌道を少しずつ少しずつ変更中である。
まあそれはそれでいいのだ。
で、何がすばらしいアイディアか。
実はおれは「タイムソファー」という代物を作ったのだ。
といっても少しも目新しいものではない。
これまで代々「タイム人力車」「タイム蒸気自動車」、そして「アタゴの動く家」を完成させた訳であるが、これらに共通するのは「何時でも」と「何処でも」に瞬間移動という機能だ。
そしてアタゴの動く家だけは「根回し機能」とか「事前調査」とかいう大層な機能が加わり、移動した先に「入居」できた訳だ。
しかしタイム人力車なんかは「入居」は出来ない。ただ希望する「何時」と「何処」へ瞬間移動するだけだ。
だから行った先が大風の吹く富士山頂だろうが銭湯の女湯だろうが、機械としては「知ったこっちゃない」のである。
それは当たり前だし、それはそれでよい。
そんなことはどうでもよいのであるが、ともあれ「タイムソファー」だ。
ああ、その前に少し物理学的うんちく。
実はアインシュタインの特殊相対論的には、遠く離れた二点間における「同時性」とはもはや意味を成さないのである。
そしてそれこそが、このタイムソファーを作った最大の理由である。
そしておれはそのタイムソファーを、地下の実験室に収納されたアタゴの動く家の「リビング」とおぼしき場所にでんと据えたのだ。
そして思い出していただきたい。
以下にアタゴの動く家の第1話を一部引用する。
つまりおれはアタゴの動く家で世界中に「住んだ」のである。
それは…
最初はヘルシンキ大聖堂に程近い場所だった。
ヘルシンキ大聖堂は白壁に青い屋根の、シンプルだが美しい建物だ。
そしてここを訪れるのは、おれの日課になった。
それとバルト海沿いの市場を散策とか。
ちなみに、街中にムーミンがあふれていた。
お気に入りになり、しばらくそこに住んだ。
それからオーストリアのハルシュタットへ移動した。
あえて少し古い時代にした。
空気がきれいだ。
湖畔の街並みが美しい。
毎日湖を見るだけで幸せになれた。
次はギリシャのカントリーニ島。
白壁に青屋根に統一された建築物がコバルトブルーの地中海に面して立ち並ぶ。
見ていて飽きなかった。
それから中世のヴェネツィア。
水上に並ぶ街が美しい。
そのころはヴェネツィア共和国の首都であり、国としても地中海では大きな存在だった。
独特の景観の美しさから「アドリア海の女王」と呼ばれた。
それから火星へ行き、小惑星落下前の北ドイツへ行き、そして小惑星…
つまりアタゴの動く家に据えられたタイムソファーがあれば、おれはそのソファーに座ったまま、これら全ての場所にあるアタゴの動く家へと瞬間移動できるのである!
いいですか? アタゴの動く家はたった一つしかないのだけど、それにもかかわらずアタゴの動く家は世界中に存在している。世界中どころか宇宙にも。そして過去にも未来にも。
それは「同時に」だったり「時を隔てて」だったりするけれど、そんなことはどうでもよいのである。
〈アインシュタインの特殊相対論的には、遠く離れた二点間における「同時性」とはもはや意味を成さないのである〉
だからおれは世界中に(宇宙にも)建っているアタゴの動く家へと、タイムソファーに座ったままで、いつでも自由に移動できるのである。
だからおれは世界中と、それから宇宙にさえも、多数の別荘を持ったことになるのだ!