カレイの化石定食

文字数 587文字

(ええと、カレー定食、とんかつ定食、焼肉定食、いろいろあるなあ…)
 とある食堂で、おれがメニューを見ていたら、珍しい名前の定食があった。
 カレイの化石定食!
 いまいちおいしくなさそうではあったけれど、その珍しい名前にだまされて、注文してしまった。
 しばらく待つと、店員が何やら持ってきた。

「おまたせしました。こちらがカレイの化石定食になりま~す♪」
(また「なりま~す♪」ときやがった)
 おれはそう思い、それから店員が持ってきたものを見て、驚いたおれは言った。
「カレイの化石定食って、これただのカレイ一匹じゃん。定食っていうのは、たとえばとんかつ定食なら、とんかつと、おいしそうなきゃべつと、ごはんと味噌汁がついているじゃん。だけどこれ、カレイだけって、どういうこと? しかもこれのどこが化石なの?」
「わたしはこれがカレイの化石定食です(きっぱり!)とは申し上げてはおりません。カレイの化石定食に『なります』と、明確に未来を予測するかの如き言い方で、申し上げたので御座います」
「はぁ?」
「とにかくこのカレイをお持ち帰りいただいて、どこかにお埋めください。十万年ほどいたしましたら化石になります。そしたら早速掘り出してください。一般的には『発掘』、とも申します。そして、そういたしましたらそのおりにご連絡いただけば、あらためて当店からごはんと味噌汁と、野菜などお持ちいたします」
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