釣鐘

文字数 530文字

釣鐘(つりがね)に (へび)()しいと 七回忌(ななかいき)

<解説>

 祖父の七回忌の法事(ほうじ)で、お寺に行ってきたんです。

 その入り口には、大きいとはいえませんでしたが、寺の名物・釣鐘(つりがね)()()がっている。

 ふと、「安珍(あんちん)清姫(きよひめ)」の昔話を思い出しました。

 旅先で美女・清姫に見初(みそ)められた(そう)・安珍は、異常な愛情を注いでくる清姫に恐怖し、彼女のもとから逃走する。

 しかし清姫はおそろしい大蛇(だいじゃ)の姿となり、安珍をしつこく追いかけてくる。

 お寺に逃げ込んだ安珍は、住職のはからいで、大きな釣鐘の中に身を隠す。

 清姫はとぐろを巻いて釣鐘を(から)()り、口から火炎(かえん)()いて安珍を焼き殺す。

 自分のものにならないくらいならいっそ殺してしまえという、常軌(じょうき)(いっ)した執念(しゅうねん)描写(びょうしゃ)されたお話です。

 こわい話ですが、けっこう好きでもあるのですね。

 なのでわたしの中では、「釣鐘」と「蛇」はセットという感覚があるのです。

 法事もそっちのけで、そんなことを思索(しさく)していました。
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