求道者
文字数 471文字
<解説>
マーラーはニーチェのレトリックを作品の中に引用していますが、その思想については特段、興味を示していたわけではなかった――というが学術的な解釈のようです。
しかしながら、ニーチェの思想とマーラーの世界観は、どこかで奇妙な一致を見せているような気がするのです。
ニーチェが「超人を目指せ」と表現した内容と、マーラーが「破滅へ向かえ」と表現した内容は、本質的なところで、とても近しいのではないか。
そんなふうに考えてしまいます。
何かを極めるというのはすなわち、破滅への道なのだ――そんな思索が、奥底にはあったのではないか。
哲学者も作曲家も表現者である以上、求道者然とした考えを持っていたのかもしれません。
ニーチェもマーラーも故人ですが、その思想や音楽は残っている。
虎は死して皮を残す――よくぞ言ったものです。
わたしは皮を残すより、明日の飯の確保で精一杯ですけれど(汗)