第55話
文字数 736文字
「真琴?」
遊さんが現れて。私の顔を覗きこんだ瞬間から、周囲のざわめきが消えた。代わりにずっと耳の奥で響いているのは、心臓のドキドキする音。待ち合わせをしたオープンカフェ。Lampo以外の場所で、こうして2人で会っているなんてまだ信じられない。
「聞いてる?」
はいっ?! と異様に大きな声で答えてしまい、慌てて口を押さえたら、遊さんがクスリと笑った。
「なんでそんなに緊張してるの? Lampoに来ているときと、全然違う」
ナチュラルに下ろした前髪にも、まだ慣れない。でもそこから見える、目を細めて笑う感じは、やっぱりたまらなく好きだと思う。
「遊さんこそ。Lampoで見る遊さんと、違うし……」
お店で遊さんに声をかけても、軽くあしらわれるのがいつものこと。だからチャレンジする感覚で、話しかけていた。今、目の前にいる遊さんは別人みたい。自分は特別なんじゃないか。そう勘違いしてしまいそうな柔らかな表情をして、私の話を聞こうとしてくれている。嬉しいのと驚きと、照れくさいのが混じりあって。どうしていいか、わからなくなって俯いてしまう。
「あの、どうしてお茶に誘ってくれたの?」
テーブルの角、そこについた小さいキズに視線を固定したまま、とりあえずそう呟いてみる。ほんの少しあいた間。そこを埋めるように遊さんの声が響いた。
「真琴が焦らすから。まんまと罠にハマった」
「え?! 」
あわてて顔をあげる。頬杖をついて、待ち構えていたように私をみていた遊さんと、カチンと目があってしまった。
「やっとこっちを見た」
細められた瞳に捕まって、逸らせない。
「迷惑だった?」
ブンブンと首を振る。無防備に向けられたその笑顔に、心臓がバタンバタンと暴れてしまい、体から飛び出してしまいそう。
遊さんが現れて。私の顔を覗きこんだ瞬間から、周囲のざわめきが消えた。代わりにずっと耳の奥で響いているのは、心臓のドキドキする音。待ち合わせをしたオープンカフェ。Lampo以外の場所で、こうして2人で会っているなんてまだ信じられない。
「聞いてる?」
はいっ?! と異様に大きな声で答えてしまい、慌てて口を押さえたら、遊さんがクスリと笑った。
「なんでそんなに緊張してるの? Lampoに来ているときと、全然違う」
ナチュラルに下ろした前髪にも、まだ慣れない。でもそこから見える、目を細めて笑う感じは、やっぱりたまらなく好きだと思う。
「遊さんこそ。Lampoで見る遊さんと、違うし……」
お店で遊さんに声をかけても、軽くあしらわれるのがいつものこと。だからチャレンジする感覚で、話しかけていた。今、目の前にいる遊さんは別人みたい。自分は特別なんじゃないか。そう勘違いしてしまいそうな柔らかな表情をして、私の話を聞こうとしてくれている。嬉しいのと驚きと、照れくさいのが混じりあって。どうしていいか、わからなくなって俯いてしまう。
「あの、どうしてお茶に誘ってくれたの?」
テーブルの角、そこについた小さいキズに視線を固定したまま、とりあえずそう呟いてみる。ほんの少しあいた間。そこを埋めるように遊さんの声が響いた。
「真琴が焦らすから。まんまと罠にハマった」
「え?! 」
あわてて顔をあげる。頬杖をついて、待ち構えていたように私をみていた遊さんと、カチンと目があってしまった。
「やっとこっちを見た」
細められた瞳に捕まって、逸らせない。
「迷惑だった?」
ブンブンと首を振る。無防備に向けられたその笑顔に、心臓がバタンバタンと暴れてしまい、体から飛び出してしまいそう。