第42話
文字数 748文字
『真琴には、教える』
そう言ってくれた遊さんの声がまだ、頭の中で響いている。遊さんの特別な存在になった気がして、口元がにやけそうになり、慌ててギュッと引き締める。
嬉しくて嬉しくて。舞い上がった気持ちは、バックにしまってあるスマホのあたりでウロウロしているのかもしれない。早く遊さんにメッセージを送りたくて仕方がないから。塾の教室、目の前で授業をしている先生の声は霞がかかったみたいに聞き取れない。数 Ⅲの授業は苦手だから、集中しないと頭に入って来ないのに。
なんとか頭のなかを空っぽにして、黒板に書いてある極形式が入るスペースを作ろうと頑張るけれど、遊さんのことで頭は満杯。好きって気持ちが、心をここまで占領してしまうなんて、想像もしていなかった。
モノトーンだったまわりの空気は、鮮やかな色彩を帯びる。シャーペンを指先でクルクルと回して、その極彩色の空気をかき混ぜていたら、いつのまにか授業が終わっていた。
まわりのコたちが席をたち始めている。私も慌てて教科書やノートをバッグにしまうと、立ち上がった。授業が全く頭にはいらなかった。小さくため息をつくけれど、気を緩めると、ニヤニヤしてしまいそう。
駅までの道のり、地に足がつかない心地のまま、スマホを取り出す。グリーン色のアプリが、暗い手元を明るく照らす。遊さんのアイコンは、小さな雪だるま。雪の日に作ったらしい。いつもしかめっ面をしている遊さんとは違うイメージに口元がほころんでしまう。
塾に行く時も、アプリとにらめっこして、書いては消し、を繰り返したのに結局メッセージを送れなかった。こんな状態だと、おかしなことを書いてしまいそう。やっぱり家に帰って落ち着いてから送ろうと、スマホをしまいかけた時だった。手のひらでブルリ、とそれが震えた。
そう言ってくれた遊さんの声がまだ、頭の中で響いている。遊さんの特別な存在になった気がして、口元がにやけそうになり、慌ててギュッと引き締める。
嬉しくて嬉しくて。舞い上がった気持ちは、バックにしまってあるスマホのあたりでウロウロしているのかもしれない。早く遊さんにメッセージを送りたくて仕方がないから。塾の教室、目の前で授業をしている先生の声は霞がかかったみたいに聞き取れない。
なんとか頭のなかを空っぽにして、黒板に書いてある極形式が入るスペースを作ろうと頑張るけれど、遊さんのことで頭は満杯。好きって気持ちが、心をここまで占領してしまうなんて、想像もしていなかった。
モノトーンだったまわりの空気は、鮮やかな色彩を帯びる。シャーペンを指先でクルクルと回して、その極彩色の空気をかき混ぜていたら、いつのまにか授業が終わっていた。
まわりのコたちが席をたち始めている。私も慌てて教科書やノートをバッグにしまうと、立ち上がった。授業が全く頭にはいらなかった。小さくため息をつくけれど、気を緩めると、ニヤニヤしてしまいそう。
駅までの道のり、地に足がつかない心地のまま、スマホを取り出す。グリーン色のアプリが、暗い手元を明るく照らす。遊さんのアイコンは、小さな雪だるま。雪の日に作ったらしい。いつもしかめっ面をしている遊さんとは違うイメージに口元がほころんでしまう。
塾に行く時も、アプリとにらめっこして、書いては消し、を繰り返したのに結局メッセージを送れなかった。こんな状態だと、おかしなことを書いてしまいそう。やっぱり家に帰って落ち着いてから送ろうと、スマホをしまいかけた時だった。手のひらでブルリ、とそれが震えた。