第18話
文字数 783文字
髪の毛が濡れているから、先に起きて勝手にシャワーを使ったのだろう。これまた勝手に俺のスエット、上下をどこからか引っ張り出したらしく着ている。というか、サイズが大きすぎて着られているみたいだ。
「そんな慌てなくても。お腹すいたから、目玉焼きを作っただけ」
フライパンを手に持ち、得意げに雫はそう言って、黄身の部分が崩壊した目玉焼きを俺に見せた。
「パン焼いて、これを載っけてコーヒー淹れたら完璧な朝ごはんだよね。私、エラくない?」
子供のようにアピールしてくる雫に、ほっとため息をついた。目玉焼きくらいなら、台所は荒れない。
「今、何時?」
「10時」
焼いた食パンの半分を手でちぎって寄越してきたから、いらないと首を振る。2時間目の授業はサボるしかない。小さくため息をついて、座卓の前に座り込む。寝過ごすなんて、いつ以来だろう。眠りが浅いからすぐ起きてしまうのが常なのに。
真琴の顔が脳裏を掠めた。軽く首を振ってその映像を頭から追い出す。何故彼女のことがこんなに気になるのか。好きとか嫌いとか、そんな感情なんて無いのに。じゃあどんな感情なんだ、と聞かれても答えられないが。ボサボサになっている髪の毛を片手でもしゃもしゃかきあげ、息を吐く。
「コーヒー飲む?」
「うん」
雫も俺の隣に座り、マグカップを置く。
「目玉焼きは?」
「雫、食って。俺、朝メシはいつも食わないから」
「知ってるけどほら、私の目玉焼き見て遊がさ、食べたくなるかもしれないじゃん? 一応聞かないと」
横をみると得意げな表情。まるきり子供みたいでつい、口元が緩む。妹がいたらこんな感じなのだろうか。
「いや、マジでいらないから。それよりシャワー浴びたら出掛ける。学校行く前に寄りたいとこあるし」
雫が出してくれたコーヒーを飲む。料理の腕はかなり微妙だけれど、コーヒーの味だけは信用できる。
「そんな慌てなくても。お腹すいたから、目玉焼きを作っただけ」
フライパンを手に持ち、得意げに雫はそう言って、黄身の部分が崩壊した目玉焼きを俺に見せた。
「パン焼いて、これを載っけてコーヒー淹れたら完璧な朝ごはんだよね。私、エラくない?」
子供のようにアピールしてくる雫に、ほっとため息をついた。目玉焼きくらいなら、台所は荒れない。
「今、何時?」
「10時」
焼いた食パンの半分を手でちぎって寄越してきたから、いらないと首を振る。2時間目の授業はサボるしかない。小さくため息をついて、座卓の前に座り込む。寝過ごすなんて、いつ以来だろう。眠りが浅いからすぐ起きてしまうのが常なのに。
真琴の顔が脳裏を掠めた。軽く首を振ってその映像を頭から追い出す。何故彼女のことがこんなに気になるのか。好きとか嫌いとか、そんな感情なんて無いのに。じゃあどんな感情なんだ、と聞かれても答えられないが。ボサボサになっている髪の毛を片手でもしゃもしゃかきあげ、息を吐く。
「コーヒー飲む?」
「うん」
雫も俺の隣に座り、マグカップを置く。
「目玉焼きは?」
「雫、食って。俺、朝メシはいつも食わないから」
「知ってるけどほら、私の目玉焼き見て遊がさ、食べたくなるかもしれないじゃん? 一応聞かないと」
横をみると得意げな表情。まるきり子供みたいでつい、口元が緩む。妹がいたらこんな感じなのだろうか。
「いや、マジでいらないから。それよりシャワー浴びたら出掛ける。学校行く前に寄りたいとこあるし」
雫が出してくれたコーヒーを飲む。料理の腕はかなり微妙だけれど、コーヒーの味だけは信用できる。