112. 《 フィットネスの日 》 2024/2/14

文字数 1,879文字



ちょっと前まで、ぼくの辞書には「フィットネス」という言葉はなかった。
しかし、今では毎日フィットネス妄想が頭のなかで蠢いている。

「フィットネス」の解釈は多種多彩であるが、大まかに括ると健康・体力の向上のために行うこと全てを意味する。ぼくが今囚われているのは、狭義で使われる「スリムになるための努力、足掻き」を指すことになる。
と言っても最近急にデブになってしまったわけでもない、現在の体重は64.5kg 、体脂肪13.2%、BMI21.9だから数字上は特に問題はない。
腰の周り、いわゆるウェストにお肉がついてしまった、世間では「腰の浮き輪肉」と呼ぶらしい、うまいネーミングだ。
腰に浮き輪をつけていると、タイタニックが沈んでも大丈夫! というわけにはいかない、だいたい豪華客船には縁がない。

ぼくも文明人、裸で過ごすわけではなく、何かを纏って生活する。
必然、腰回りにもパンツ(下着)、レギンス、スラックスが引っかかることになる。
浮き輪肉というくらいだから、衣類をそこに引き上げても、下げても、のっけても、浮き輪の弾力でへこむことはない。
かくして、かっては体形を露にして得意がっていたファッション・ポリシー 「ボディコン」は崩れ去ってしまった、あっという間に。

高齢になっても浮き輪肉の出現しない人もいるが稀だそうだ、この浮き輪肉現象はまたもや「加齢」という悪霊が原因なのか!
その原因もシンプルで納得しやすい。
ひとつは食べすぎ、もうひとつは運動不足、高齢者に限らずすべてのフィットネスの始まりはこの二つでしかない。
71歳までトライアスリート、マラソンランナーとしてトレーニングを維持してきた身には、上記ふたつは想像することもない組み合わせでしかなかった。
71歳で最後のマラソンを終え、フリー・ジョグと称する運動の真似事に切り替えながら、他方ではしっかり食べ且飲んでいた。
浮き輪肉の兆候に気づき放置していたわけではない。
この一年、食事量を減らしてきた、しかし片方の運動量減少にはまるでマッチしなかったと見える。
身体の不具合が増加し、その強度が劣化していく中、もう一度運動量を増す(戻す)のはかなりの程度悲観的だ。
残るは、やはりより厳しい食事制限になるのか?

食事量に関しては自己検証結果がある。
直近一年半ほど孫たちの朝ごはんを用意してきた、育ち盛りの3人にできるだけ栄養の高いものをたっぷり食べさせようとしてきた。
当然 ぼくもその朝ご飯を食べてきたわけだ、ついつい率先して孫たちと同じ分量を食べ喚起してきた・・・「しっかり食べて大きく強くなれ」。
残念ながら、74歳になると大きくなるどころか背は縮んでくる、縮んだ分が腰回りの浮き輪肉に吸収されていると想像するだに恐ろしい。
結論として、より一層科学的にそして意識的に食事量を管理していくターニングポイントに来たことが明らかになった。
具体的に記しておこう:
●グルメ・珍味は高価、たとえ望んでも口に入らないので、愛情いっぱいの手作り料理を妻にはこれからもお願いする。
●晩酌を禁じると精神上問題が起きそうなので、食中酒(ビール、ワイン、日本酒のいずれ)食後の寝酒(ウィスキー)ともに1グラスとする。
●朝ごはんは孫たちの半量にする。
●昼ご飯は原則として摂らないが、ひもじさを我慢できないときはサッサと手軽なものをキッチンで立ち食いする(一種の罰ゲーム)。
本音で言えば、これら対策は「某党裏金脱税自主規制対策」と同程度に、何らかの理由をつけて一瞬で崩れ去る程度の科学的かつ意識的な代物である。

もう一方の対策である運動は以前のようには実行できないまでも、せめて「浮き輪肉」そのものをターゲットとした方法を調査研究し、いま実行に移している。
ネット世界には「浮き輪肉」解消(願望?)のエクササイズが溢れ返っているのにいまさら驚くこともない、悩みは皆同じというわけだ。
その中から僕が選んだのは次の項目、毎朝のストレッチメニューに似ているものも多いので、新規というよりも、メニューをブラッシュアップしたことになる。
「腹斜筋・腹横筋強化」、「コア強化」のための筋トレとして プランク、サイドプランク、マウンテンクライマー、ツイストクランチ、シングルレッグヒップリフト、をアレンジして取り入れている。

おかげで朝のエクササイズ時間はより一層長く濃密になり、朝ごはん準備のころには身体がふらつくこともある。
はたしてこれは健康なことなのかい? それとも新しい液状化現象なの?
幾つになっても自分の身体すらコントロールできない人間の弱さを実感する 今日である。
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