107.《 0.4%物語りの日 》 2024/1/10

文字数 1,837文字



クリニックからの帰り道、ドラッグストアーに立ち寄る。
目的は歯間ブラシなど、切れている日常消耗品の補充。
先ほどまで陽が燦燦と差していたので少し暑苦しいくらい、薄着で出かけて正解だった。
12月(2023年)になっても冬らしい日が少ない、この暖かさはもはや異常ではなく正常な気候なんだろう。
レジを終えてエコバッグに商品を入れ替えていた時だった、寒気がした・・・というよりそれは「悪寒」に近い攻撃的な一撃だった。
(薄着は失敗だったかな、早く家に戻ろう) と思った瞬間、顔が火照っていることに気づく。
熱が出ているのとは違う、顔が内側から膨れてくるような不快感が迫ってくるのにも気づく。
そして息がしづらい、バクバクとまではいかないが胸が苦しい、正確なところは知らないがこれを動悸というのなら、その動悸にも気づく。
悪寒、火照り、動悸の三本立てが一度に襲ってきた。

思い当たることがあった。
1時間前にクリニックで注射を打ってもらった、股関節変形治療のジョイクル関節注、その2回目を受けていた。副反応が起きるといけないということで、注射後30分はクリニックにとどまって様子を確認した後帰宅の帰りの出来事だった。
急激な体調変化は果たして副反応なのかどうかを考えながらも、身体は無意識に帰宅のため車を発進していた。一瞬 運転中に意識を失うかもしれないという恐怖がよぎったが、もう止まるわけにもいかない。
深呼吸を繰り返しながら、僅か5分ほどの距離を走った、これほど神経を張り詰めた運転は久しぶりだと思いながら。

帰宅しても悪寒、火照り、動悸は止まない。
寝具を出して横になるも、悪寒の影響で震えまで出てきた。
体温は35.6℃だから今流行っているインフルエンザの兆候ではないだろう、やはり副反応だろうと思いクリニックに電話する。
「すぐに来てください、おうちの人に運転してもらって」
クリニックではまずバイタルをチェックしてくれた、血圧がやや高めだけれど体温、酸素濃度、脈拍は正常だった。
ただ、そのころは悪寒で震えが止まらず指先が冷たくなっていた、ドクターと看護師が手で温めてくれるが、副反応への対応処置は何もされないまま、ベッドで暖かかくして様子をみるだけの時間を過ごす。
クリニックの診断は「軽度の副反応、通常注射後30分前後の反応が多いが、注射後2日間まで反応が出るケースもあるので当分安静に」とのことだった。

ジョイクル関節注30㎎に関する今回副反応の貴重な実態を以下にまとめてみる:
1.注射後訳およそ1時間後に発症
2.急な悪寒、火照り、動悸そして震えが起きる
3.軽度な反応なので特別な処置はなく、温かく安静にしているだけ
4.副反応発症から約9時間(翌午前1時)で回復した
5.翌日から元の生活に戻った
6.前回(1カ月前の一回目)には副反応は全く感じなかった
7.いちばん重要なところだが、股関節不具合の軽減は翌日から目覚ましい、これは初回と同様。

では1回目ではなく2回目に副反応を引き起こした要因を推察してみよう。
◆最初は緊張していたが、二回目はそうではなかったということは、心理的要因があるのか、つまりは油断か?
◆その結果、12月の気温の変化に対応した服装でなかった、薄着からヒートショックを生じ副反応につながった?
◆その結果、数日前の疲労が残っており前日すこし深酒をしていた、つまりは体調が万全ではなかったのに注射を受けた?

「ジョイクル関節注」公式治験結果によると「0.4%の副反応があると」のこと、これをどう判断するかが、これからのぼく自身の判断の基準になる。

話が大きくそれるが、

  

 という哀切のバラードがある。
演奏:スターダストレビュー 
作詞:根本要・手島昭 作曲:根本要 
♪♬
あきらめるのは 早いほう
なんて強がり言ったのに
今日は涙があふれ うつむけば
最後の笑顔が見せられないわ
・・・・・(以下省略)
♪♬

これは1%しかない恋の成就を悲しむ失恋曲だ、それに比べれば0.4%しかトラブルの起きないジョイクル関節注は、文字通り「歓びを誘う」ものだ。副反応があったからと言って簡単にあきらめるのは早すぎる、ここは笑顔を見せてでジョイクルを受け入れよう。
とはいってもぼくは現実に2回に一回の副反応を経験した、ということは50%物語なのかな?

副反応の危険を覚悟でQOLを取るか。
リスクを避けてロキソニンテープに戻るか。
0.4%物語りをそれでも信頼するか。

三回目の注射を前に、悩み多い 今日である。
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