56. 《 地球を救う日 》 2023/1/18

文字数 976文字



DIYが趣味である。
僕ではなく妻の趣味である、得意種目だ。

家屋修理、障子・網戸張り、日曜大工、庭木手入れ、野菜栽培・・・などのDIYが妻の趣味で得意種目だ。
今まではこの手の仕事は夫(男性)の役割だと区分されていたが、結婚以来50年近く、我が家では妻の仕事になっている。
その意味からすれば、我が家はジェンダーのない進んだカップルだったと断言できる。
真実は、僕が不器用だということに尽きるし、代わりに妻が器用だということでもある。

「趣味と実益を兼ねる」のがもう一つのキーワード。
妻のDIYはお金をかけないのが大前提、多種多様な半端な素材を不捨再利用する。
野菜栽培用プランターはスーパーマーケットの廃棄ポリケースの底に、ホイール付き台座をセットしたものだ。台座となる木片とホイールを購入し作成する、汎用性があるので季節ごとに野菜プランターを入れ替えることで便利と省資源を達成している。

何かちょっとしたモノが欲しい時は妻に問い合わせることにしている。
例えば 「ウッドベースのエンドピン(安定させ高さを調節する突起)が床に食い込まないようにしたいのだけど 何かある?」 という具合だ。
たちまち、何処かから20x20x2㎝(厚み)の板と大きめの布製コースターが取り出される・・・・必要な機能ピッタリのものだ、取り置いていた廃材だそうだ。

ゴミ分別用の数種類のごみ箱は段ボールケースをガムテープで補強したもの、
家庭犬COCOのお食事テーブルはトマトの入っていた段ボールケースを細工したもの、
衣装ケースの中は各種プラスチック小箱で靴下、ハンカチ、下着が区切られて整然と並んでいる。

かって昭和高度成長期に「消費は美徳」と推奨されたことがあった。
新しい物を買って古い物は捨て去ることで経済発展するという理論だ。
そんな時代に少年期を過ごしたことに加えて、生来の物欲本能にも育成され社会に出たころには僕は立派な浪費消費者に育っていた。
そして なんとなんと今頃になって、手のひらを反すように「SDGs」だと言う。
資源を大切に、再利用する、地球と人類を救うためだという・・全く逆のコンセプト二つに翻弄される一生になりそうだ。
ここは 潔く過去の間違いを認め、無知故の間違いであれば真実を学習する、そんな一生にしたい。

妻のDIYが地球を救う、僕の唯一大きな慰めになっている 今日である。
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