35. 《  メリーゴーラウンドの日 》 2022/9/7

文字数 1,802文字



お盆に故郷の地までお墓参り旅行した。
息子47歳、孫13歳、そして僕は72歳、三世代男どものハードな旅になった。

僕には孫が6人いる、高校3年生から小学4年生までの男の子が4人女の子が2人、みんな神奈川県に住んでいる。
僕ら夫婦は香川県出身であり、お墓もそこに置いている。
6年前 最年長の孫が小学校を卒業した記念に家族のルーツを知るという目的と中学でしっかり頑張れという意味から、故郷ツアーを思いついた。
なかなか航空機に乗る機会のない子供に空の旅を経験させ、ホテルシングルルーム宿泊の経験もさせて、ちょっとだけ「大人」への路にエールを贈るという隠された意図もあった、ジジババの勝手な思い込みではあるが。

実は今年は僕自身2回目の卒業旅行アテンドになる。
2年前卒業した孫がちょうど拡散し始めたコロナ渦に巻き込まれ、その後も春夏の休暇期間に感染が拡大したこともあって延期されていたものが今年1月にようやく実現した、当の孫は中学三年生を目の前にしていた。
このような失敗を繰り返さないため、未曽有の感染者数が報じられている2022年夏第7波の真っ只中で、次の卒業旅行を敢行した。
旅行することそのものが感染の危険を含んでいるわけではなく、旅行中どのような行動をとるかが感染リスクの本質であることが、コロナ3年目の今になって学習できたことも敢行の理由になった。
ただし、妻はもともと空の旅が得意ではなく、身体に持病もありツアーアテンドを断念した。
その代理として孫の父(息子)にアテンドを頼った今回の卒業旅行だった。

旅は1泊2日の最短コース。
初日は羽田で落ち合って、「ひとしなや」で腹ごしらえした後JAL便で高松空港へ。
着後、もう一度讃岐うどん「空海房」で腹ごしらえして第1テーマのお墓参りに。
36℃猛暑のなか孫には初めてのお墓掃除、供花を手伝ってもらい家族のルーツをそれとなく実感してもらう。
車で琴平金毘羅さんに移動し、温泉旅館「琴参閣」にチェックイン、三世代一緒に温泉に入り、大広間で懐石料理を食べる。

二日目は早朝5時から金毘羅本宮参拝、お店も本宮も開いていなかったが涼しい中、それでも汗びっしょりで有名な階段を昇り降りする。
もう一度、三世代一緒に温泉に浸かり、大広間でのブフェ形式の朝食、厳しい感染予防策が施された旅館を無事にチェックアウトする。
チェックアウト後 金比羅歴史遺産 日本最古の歌舞伎劇場「金丸座」を見学、ボランティアのガイドさんも暑さのなか見学者が少なくて手持ち無沙汰気味だった、予想気温37℃。
三世代ともに再訪問ではあったテーマパーク「ニューレオマワールド」、園内をひたすら乗り物を追い求めること3時間、孫の満足ゆくまで祖父はじっとアテンドした。

実は僕はジェットコースターが好きだ、ここにはビバーチェという水面すれすれを時速75㎞で走り抜く一番人気のジェットコースターがある。
富士急のムーンサルトも平気だったよ、と言ったら息子に何年前の話と問われてみれば、30年以上昔のことだった。
一番人気のビバーチェに並ぶこと30分、田舎ジェットコースターを半ば馬鹿にしながら乗り込む。2分間の経験だったが、横に曲がるG(重力)に体がもっていかれそうになる、ちょっと慌てた、怖かった。

孫と息子が次々と嬉々として園内を駆け巡る後を必死で追いかける、37℃の炎天下で。
次は上空59mを座ったまま回転するバードフライヤー、高所は得意じゃないが上空は涼しそうだ。20分並び係員の説明を受ける、体験できない人リストが目前に提示される・・・65歳以上はNOだとのこと、すごすごと列から外れる。
後からよーく調べたら、ビバーチェにも60歳以上は乗れませんとのルールがあった、ただ係員がその説明を省いただけだった。

一番人気のビバーチェに乗れただけでも良しとするか、はたまた何も事故がなくてよかったが・・と一応は反省するか、迷っている。
一方では、60歳、65歳の年齢制限をかけておきながら入場チケットにはそのハンディがないのは納得いかない。
帰宅後、腹立ちを抑えることができず息巻いていたら、
「じゃあメリーゴーラウンドにでも乗ってたら」と妻に諭される。

今回の旅行のテーマは、お墓参りと孫の卒業祝い、孫が満足してくれればそれで良い。
次からはフリーチケットは買わないで、
メリーゴーラウンドの前で切符を買うことにしよう・・と決めた 「今日である」。
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