11.《 愚かさを思い知る日 》  2022/3/30

文字数 1,037文字




「言の葉」とは事の葉に通じるもので、言で表現することで事が実現する、と信じられていたそうだ。葉は、草木が芽を出し葉を茂らせることによって花を咲かせ実を結ぶように、人は言の葉によって思いを伝え、人とつながり、自分を表現しながら事をかなえていくのです。 (「美人の日本語:山下景子」より)

言葉を喋る、言葉を書く、言葉をネットにアップする、こんな単純なことにも重い責任が宿っていることに、なかなか気づかない僕だ。
それでも細心の気遣いで言葉を選び、結び、連ねることで自分の思いを表現してきた。
だからこそ、言葉の発する悲鳴にも敏感になれる、怪しげな言葉には立ち止まり振り向く。

「非人道的兵器」という言葉がこの1~2週間(現在2022年3月30日)耳に入ってくる、
僕の心は理解不明の言葉を聞いたAIのように作動停止する。

21世紀のいまにして第二次世界大戦のようなレトロな侵略戦争を仕掛ける露西亜、自由と独立を死守しようと自衛抵抗するウクライナ。
犯罪的侵略と無差別殺戮を阻止できない世界の国々、国際組織の言い訳の言葉、言葉、言葉。
その底にある「第3次世界大戦回避」という言葉は人道的事の葉なのだろうか。
つまるところ、ウクライナを犠牲にして世界の安全を維持し、より多くの人類の命を尊ぶという。

「非人道的兵器」という言葉はこれらの摩訶不思議な交渉の中で発せられた言葉だ。
もし非人道的兵器が使用されたら、露西亜にどう制裁するのかという文脈の中だった。
「非人道的兵器」そのものは変言葉ではない、報道でも使われる一見ポピュラーな言葉だ。
それが意味するものは、生物化学を使った兵器、毒ガスや細菌・ウィルスと言えばわかりやすい。

作動停止AI状態からの再起動キーワードは「人道的兵器」、関連キーワード「人道的戦争」とともに、また僕は作動停止になる。非人道を否定する人道的兵器も人道的戦争も言の葉として成立しないからだ、ならばと「核兵器」を検索して非人道的兵器のファイルに入っていないことを知り、とうとう僕のAIは電源がダウンした。

20世紀は戦争の100年、21世紀は「何の100年」になるるのかと思って過ごした21年だったが、
結局はウイルスと戦争パート2になるのか。

「戦争のない平和な地球」を事の葉として、言の葉を紡ぐことができない人類、
同種を殺し合う生物ヒエラルキートップの人類。
愚かさだけしか歴史に残せないのだろうか。
人類に地球を継ぐ権利、能力は本当にあるのか。
人類の愚かさを思い知る「今日である」。
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