20.《 フリージョグする日 》  2022/6/1

文字数 1,706文字




加齢による不具合・不都合に対して毎日のように我が身・我が生活を調整しなおしている。
今回触れるアジャスト対象は「ランニング」、唯一残っているアスリートの証、ランニングへのアジャスト物語りである。

昨年のホノルルマラソンでレース出場に終止符を打ったことは別のエピソードでもお知らせしたとおりである(「包丁走りの日」)。
目標がないランニングにもようやく慣れてきた4月、早くも日中のランニングが厳しく感じられる気温に近付いてきた、
毎年のように地球温暖化進行を実感しながらも、地球を救う決意を持てない人間の業に虚無の溜息を呑みこみ、それでもランニングにこだわり続け自分を異常気候にアジャストするここ数年だった。
些細なアジャストである、日中(12時)から朝(5時)へ、距離9㎞から5㎞へ、中三日から一日おきへ、移行した、いつものことでもある。
アジャスト直後のことだった、尾籠な話で恐縮だが、朝ランの途中でビッグベン・トラブルに見舞われた、それも2回続けてだ。
このようなトラブルは、長いランニング人生では珍しいものではない、それ相応の緊急対応の術は心得ている。さっと草むらに駆け込み、さっと済ませて、何食わぬ顔してまた走り出す・・・大した術ではないが。
しかし、2回続けて、それも走り出す前にしっかりと用を足しているのに走り出してすぐ、
まだ1㎞手前でトラブルが発生した。

3回目を無策で走るわけにはいかない、原因と対策を検討した。
1.しっかりと用を足す・・・でも出ないものは出ないのだ
2.トラブルを回避するため1㎞手前で終える・・・そんなランニングはしたくない
3.トイレを確保する、できれば1㎞ごとに・・・5㎞コースのトイレは1.5㎞、2㎞、(主にコンビニ)、適切なトイレ(施設)が1㎞以内にない

見事に対策がないことを痛感する、ではどうするか?
1については次回内視鏡定期検査の折に主治医(直腸癌施術)に相談する。
2・3をよくよく見直してみた、そして根本的な問題を発見してしまう。
この5㎞コースを僕は40年近く変更することなく頑なに守ってきた、あたかもプロトコルのように大切にしてきた結果、自分で設定したコース(ほかに9㎞、32㎞コースがある)に、その自分がまんまと囚われていたことに気づいた。
長年走り続けたマイ・コースだけど、これらのコースはすべてレース用トレーニングのため、スピードとスタミナを磨くためのものだ。
そして僕は今、レースから足を洗った、トレーニングはしない・・・こんな簡単なことを、ビッグベントラブルが教えてくれたのである。

3回目のランニングに際しての改善策はこんな風になった:
●用便をしっかり終えるまで走り出さない、時間は決めない、用意ができたらスタートする。
●それでも念のため自宅から離れないよう周辺を走る、少なくとも1~2㎞は。
●その後トラブルがないようであれば、少しづつ自宅から離れた場所を適当に走る。
実際に3回目のランニングはどうだったかというと:
■すっきりと出し切ったと確信した12時からスタートした、幸いにも気温は高くなかった。
■1.8㎞まで自宅の周りを走った後、問題が発生しなかったので少し離れた場所に向かった。
■しかし途中からトラブルの兆候を予感したので、急ぎ自宅に引き返して事なきを得た、3㎞走っていた。
■再開した後も用心のため自宅周辺から離れることなく、適当なところで終了した、5.5㎞走っていた。

ランニング用リストウォッチは、GPSでランニングの経路、距離をデータとして残すことができる。当然タイムとマッチングして平均スピード、最高スピード、スピード履歴も知ることができる。指定した距離(例えば1㎞、5㎞)のラップタイムもランニング中知らせてくれる。
しかし、ここで僕はすべての機能を無視するよう決意した
(ただ距離だけはオーバーワークにならないようチェックする)。
この日、「フリージョグ5.5㎞」とだけ記録した。

都合のいい時間に、勝手気ままな場所を、疲れない距離だけ、スピードを気にせず・・・
これが新しいランニング・プロトコルになった。
アジャストを超えた変革、大きな枠を取り外した「今日である」。
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