114.《 インフルエンサーの日 》 2024/2/28

文字数 1,821文字



2020年以来インフルエンザには縁がない。
コロナにも今まで感染したことがない。(注:2024年1月末114話作成時点)
免疫力が強いのだろうか、それとも生真面目に接種しているワクチンのおかげなのだろうか?
父が96歳の時インフルエンザを発症したが、ワクチン接種していないにもかかわらずあっさりと回復し担当医を驚かせた。
上記2020年のぼくの発症は父の看護での密な接触のせいだった、その時に強力な免疫力を授かったという伝説ストーリーにしている。

基本的に古希過ぎの高齢者は感染症拡大圏からは遠く離れた距離にいると思う。
他人との接触機会が少ないという点において感染の大きな要因である三密を日常で回避している。
と断定するとお叱りを受けそうである・・・積極的に人とかかわる高齢者がいるのも一方の事実だ。朝のラジオ体操から始まって、自治会館でのヨガ教室、老人会麻雀クラブに通う方々を知っている。
しかしながら、これらは高齢者どうしの接触だということから、やはり感染リスクは高くないに違いない。
感染症の発生場所は圧倒的に学校という集団、なかでも衛生観念が根付いていない小学生たちだろう。
運動会、文化祭、修学旅行などに代表される学校行事も感染拡大の格好の受け皿になる。
かくして、コロナパンデミック時には、小さな子供たちが田舎のおじいちゃん・おばあちゃんに会うために帰省することが非国民のごとく非難された。
我一族もコロナパンデミックの4年間お正月の宴を中止したり、厳重な感染対策で慎重に実施したことを、今では懐かしく思い出される。

事態は一変した。
息子家族と同居することになり、(当時)高校生二人、小学生一人の孫3人との生活が始まったのである。
あれから1年半が経ち、孫たちはコロナはじめ各種感染症を我が家に持ち帰った。
その時 妻が孫たちの看病担当になったことをジェンダー問題にはしないでいただきたい。
二人ともに感染してしまうと生活を維持することができないとの判断で、まず妻が担当し、万が一ウィルスに取り込まれたら、次はぼくが跡を引き継ぐ水際作戦だったのだから。

2024年1月、孫3人が一斉にインフルエンザに罹り、隔離部屋に出入りしていた妻もインフルエンザを発症した。一昨年秋のコロナ拡大時期と同じパターンで孫たち発症に伴って妻もダウンし、クローザーである ぼくの出番になった。
事前計画通り、ぼくが看護を、家事を引き継ぐ。
食事、洗濯、愛犬COCOの世話に集中し、その他はとりあえずうっちゃることにする、家事全てをカバーするミッションではないから。
なんとか妻が復帰するまで生活を崩さないことを第一義とした。
いかに妻がはたしている家事が広く深いものであったかを思い知ることになる、二度目の経験になった。

我が家には平時より食料品がかなり備蓄されているので、しばらくは食材買い出しに出かける必要はない。
「和室の冷蔵庫に(我が家には3個冷蔵庫がある)、鱈とレバーがあるので早めに使ってください」 と、言われた。妻が発症する直前に買い出しした生鮮食材を心配してのアドバイスだ。

朝ごはん担当だし、パスタメニューは得意だが夕食の料理となると少し緊張する、おまけに食材が指定されている貴重な料理体験となった。
鱈はバターソテーしてトマトソースとアレンジしパスタにした、珍しい食材だがいつもの休日パスタの延長だった。
さてレバー(豚)をどうするか?
レバーはぼくの好物だが、苦手な家族もいるので、妻はいつも一般的な煮込み料理にしている。
ここは自分がいちばん好きなメニューにしようと思った、「レバーカツ」だ。
お願いしてもなかなか作ってもらえない「レバーカツ」、いろいろ手数のかかる料理なのだと聞いていた。
レバーカツの下準備として、冷水で漬け洗い20分、水けを取って臭み抜きのタレに浸す事40分、確かに面倒くさい。衣をつけて揚げる作業は経験がある、しかしレバーが破裂するのは知らなかった、と言って止めるわけにもいずへっぴり腰で揚げ終える。
レバーカツ・カレーは、残念ながら子供たちには人気がなく、レバーカツはほとんど自分が平らげ見事に食べ過ぎとなった。

妻がインフルエンザに罹ったおかげで、また新しいことに挑戦することができた。
誰かに大きな影響を与える人を「インフルエンサー」という。
インフルエンザがぼくのインフルエンサーを再確認させてくれた。
ずっとインフルエンサーであり続ける妻に感謝する 今日である。
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