イタリアから来た少女(4)
文字数 929文字
僕は目を醒ますと、早々にビジネスホテルを出て神戸の町に飛び出した。
アプリに書かれた待ち合わせは、正午にポートピアタワーだ。まだまだ時間がある。朝飯でも食ったら、神戸の町を少し散策しよう。そう僕は考えていた。
って、電話?
三ノ宮から港の方へ向かおうと、交差点で信号が変わるのを待っていた僕の携帯に、誰かが電話を掛けてきた。
母さんか?
まさか、ガッコの先生?
「ん~、もしもし?」
「あ、出た出た。お迎えさんですね。あたくし、ストラーダ・インドゥストリアーレで~す。今、新神戸の待合室にいますので、迎えにきてくださ~い」
僕が何かと思って電話にでると、電話の相手は僕と正午に会う筈のイタリア女性だった。
し、しかし……、こ、こいつは……、待ち合わせの予定も計画も、全て関係ない、出たとこ勝負の行き当たりばったり人間か~? お、おまけに人の返事に待たずに言うことだけ言ったら切りやがった。
僕は急遽向きを変え、今来た道を北に向かった。確かこの大通りを真直ぐ行けば、新神戸の駅へと出る筈だ。
ずっと上り坂を小走りに登って行くと、道は北から、北東の方向へと曲がっていく。でも確か間違ってはいないと思う。新神戸からホテルへに行くのに、この道を僕はタクシーで降った記憶がある。そして、ホテルは駅から意外と近かったと感じたことも覚えていた。
そんな時、道路の先の方から、真直ぐ僕に向かって金髪の少女が走り降りてくる。写真で見た、例のイタリア女性だ。
特に後ろには誰も見えないが、彼女は何かから逃げ出している様であった。
「あの~、あなた、インダストリアルさんですか?」
彼女が数メートル手前に近づいた時、僕は彼女にそう声を掛けた。彼女は僕の言葉を理解した様だったが、むしろ前方にも待ち伏せがいたと言った雰囲気で、急ブレーキをかけてその場に立ち止まった。
突然、僕の携帯が着信を告げる。
僕が携帯を取り出してみると、相手は何故か目の前のインドゥストリアーレさんだった。
彼女は僕が携帯を目にするのを確かめてから、僕の手を取って無理矢理に三ノ宮駅の方へと引っ張って行く。
しかし、この坂を何度登り降りさせるのだ? 朝出た時を除いても、僕がホテルの前を通るのは、もう三度目だぞ。
アプリに書かれた待ち合わせは、正午にポートピアタワーだ。まだまだ時間がある。朝飯でも食ったら、神戸の町を少し散策しよう。そう僕は考えていた。
って、電話?
三ノ宮から港の方へ向かおうと、交差点で信号が変わるのを待っていた僕の携帯に、誰かが電話を掛けてきた。
母さんか?
まさか、ガッコの先生?
「ん~、もしもし?」
「あ、出た出た。お迎えさんですね。あたくし、ストラーダ・インドゥストリアーレで~す。今、新神戸の待合室にいますので、迎えにきてくださ~い」
僕が何かと思って電話にでると、電話の相手は僕と正午に会う筈のイタリア女性だった。
し、しかし……、こ、こいつは……、待ち合わせの予定も計画も、全て関係ない、出たとこ勝負の行き当たりばったり人間か~? お、おまけに人の返事に待たずに言うことだけ言ったら切りやがった。
僕は急遽向きを変え、今来た道を北に向かった。確かこの大通りを真直ぐ行けば、新神戸の駅へと出る筈だ。
ずっと上り坂を小走りに登って行くと、道は北から、北東の方向へと曲がっていく。でも確か間違ってはいないと思う。新神戸からホテルへに行くのに、この道を僕はタクシーで降った記憶がある。そして、ホテルは駅から意外と近かったと感じたことも覚えていた。
そんな時、道路の先の方から、真直ぐ僕に向かって金髪の少女が走り降りてくる。写真で見た、例のイタリア女性だ。
特に後ろには誰も見えないが、彼女は何かから逃げ出している様であった。
「あの~、あなた、インダストリアルさんですか?」
彼女が数メートル手前に近づいた時、僕は彼女にそう声を掛けた。彼女は僕の言葉を理解した様だったが、むしろ前方にも待ち伏せがいたと言った雰囲気で、急ブレーキをかけてその場に立ち止まった。
突然、僕の携帯が着信を告げる。
僕が携帯を取り出してみると、相手は何故か目の前のインドゥストリアーレさんだった。
彼女は僕が携帯を目にするのを確かめてから、僕の手を取って無理矢理に三ノ宮駅の方へと引っ張って行く。
しかし、この坂を何度登り降りさせるのだ? 朝出た時を除いても、僕がホテルの前を通るのは、もう三度目だぞ。