鳳さんと天空橋さん(1)
文字数 1,219文字
あの神戸の事件の後、僕が何か格闘系のクラブ活動を始めたかと言うと、全くそんなことは無かった。
ただでさえ、異星人警備隊の仕事と高校生活の両立は難しいと言うのに、クラブ活動にまで割く時間など僕には少しも無かったのだ。
それに、戦闘はアルトロの力を借りれば、僕だって結構何とか出来るし、いざとなったら超異星人に憑依する手もある。何と言っても、レスリング部とか、空手部の様な体育会系の部活なんかは、先輩後輩の上下関係が厳しそうで、緩い性格の僕には全く不向きなのだ。
では、急いで帰って異星人警備隊の任務に付いたかと言うと、実はそうでもなかった。僕は今、作戦室への入室禁止を言い渡されていて、警備隊の出勤要請も全く来ない状況だったのだ。
そう言う訳で、今日の授業を終えた僕は、いつもの様に暫く机に突っ伏して休憩してから、のんびりとバスと電車に乗って家に帰る予定だった。
「チョ君、ちょっといいで~すか?」
僕が机から顔をあげて見上げると、学年一のハーフの美少女、鳳サーラさんが目の前で腰に手を当てて仁王立ちしている。
しかし……、僕はチョではないぞ!
「何ですか? 鳳さん?」
「チョ君、私と付き合ってくださ~い」
な、何を言い出すんだ! この人は! 自分の立場を弁えろ! ほら、クラス中の男子の嫉妬に狂った視線を……。
ア、アルトロ! どうしたらいい?
「とりあえず、こう言ってください」
僕はアルトロの指示に従った。
「何の買い物に付き合えばいいのですか? でも、僕は女性の好む様な商品を売っている店なんて、全然知りませんよ」
成程、取り敢えず、買い物に付き合うということにするのか? でも、それでも「なぜ、あいつなんだ!」って、嫉妬の視線はあんまり減ってはいないぜ。
「そうではありませ~ん。お友達として付き合って欲しいので~す」
こ、こいつ、言うに事欠いて、僕の立場も考えろってんだ! この後、先輩も含めて、学校中の男子に何されるか分かった物では無いじゃないか!
僕の1年の時からの悪友、穴守一也が近寄ってきた。トイレを済まし、「バス停まで一緒に帰ろう」って言いに来たに違いない。
「サーラさん、どうしてこんな奴と付き合おう何て思うんです? こいつ、顔は大したこと無いし、馬鹿で勉強も出来ないし、運動だってからっきし。最低って訳じゃないけど、何をやらせても中の下の男ですよ」
穴守~! そこまで言うか? ま、決して間違っちゃいないのだが……。
「あたくし、チョ君に興味ありま~す」
僕は少々意地悪な気分になった。
「ほう? 僕に何の興味があるんですか?」
どうだ! まさか異星人警備隊で一緒だからなんて、いくらストラーダ隊員でも流石に言えはしないだろう!
「チョ君、私の小さい時に亡くなった犬に良く似ていま~す。ドジで間抜けな飼い犬でした。でも、あたくしの友達で~した」
「僕は犬扱いかよ!」
僕の台詞に、クラス中の男子の嘲笑する声がコダマして聞こえてきた。
ただでさえ、異星人警備隊の仕事と高校生活の両立は難しいと言うのに、クラブ活動にまで割く時間など僕には少しも無かったのだ。
それに、戦闘はアルトロの力を借りれば、僕だって結構何とか出来るし、いざとなったら超異星人に憑依する手もある。何と言っても、レスリング部とか、空手部の様な体育会系の部活なんかは、先輩後輩の上下関係が厳しそうで、緩い性格の僕には全く不向きなのだ。
では、急いで帰って異星人警備隊の任務に付いたかと言うと、実はそうでもなかった。僕は今、作戦室への入室禁止を言い渡されていて、警備隊の出勤要請も全く来ない状況だったのだ。
そう言う訳で、今日の授業を終えた僕は、いつもの様に暫く机に突っ伏して休憩してから、のんびりとバスと電車に乗って家に帰る予定だった。
「チョ君、ちょっといいで~すか?」
僕が机から顔をあげて見上げると、学年一のハーフの美少女、鳳サーラさんが目の前で腰に手を当てて仁王立ちしている。
しかし……、僕はチョではないぞ!
「何ですか? 鳳さん?」
「チョ君、私と付き合ってくださ~い」
な、何を言い出すんだ! この人は! 自分の立場を弁えろ! ほら、クラス中の男子の嫉妬に狂った視線を……。
ア、アルトロ! どうしたらいい?
「とりあえず、こう言ってください」
僕はアルトロの指示に従った。
「何の買い物に付き合えばいいのですか? でも、僕は女性の好む様な商品を売っている店なんて、全然知りませんよ」
成程、取り敢えず、買い物に付き合うということにするのか? でも、それでも「なぜ、あいつなんだ!」って、嫉妬の視線はあんまり減ってはいないぜ。
「そうではありませ~ん。お友達として付き合って欲しいので~す」
こ、こいつ、言うに事欠いて、僕の立場も考えろってんだ! この後、先輩も含めて、学校中の男子に何されるか分かった物では無いじゃないか!
僕の1年の時からの悪友、穴守一也が近寄ってきた。トイレを済まし、「バス停まで一緒に帰ろう」って言いに来たに違いない。
「サーラさん、どうしてこんな奴と付き合おう何て思うんです? こいつ、顔は大したこと無いし、馬鹿で勉強も出来ないし、運動だってからっきし。最低って訳じゃないけど、何をやらせても中の下の男ですよ」
穴守~! そこまで言うか? ま、決して間違っちゃいないのだが……。
「あたくし、チョ君に興味ありま~す」
僕は少々意地悪な気分になった。
「ほう? 僕に何の興味があるんですか?」
どうだ! まさか異星人警備隊で一緒だからなんて、いくらストラーダ隊員でも流石に言えはしないだろう!
「チョ君、私の小さい時に亡くなった犬に良く似ていま~す。ドジで間抜けな飼い犬でした。でも、あたくしの友達で~した」
「僕は犬扱いかよ!」
僕の台詞に、クラス中の男子の嘲笑する声がコダマして聞こえてきた。