不協和音(2)
文字数 1,419文字
僕は時々こうやって、天空橋さんと一緒に帰るのだが、天空橋さんと僕は、これで付き合っていると言えるのだろうか?
僕はずっと天空橋さんのことが好きだし、以前彼女も、僕のことを好きだと匂わせてくれたことがある。でも、僕はまだ彼女に告白をしていない。怖くて出来ないのだ。
そりゃ僕だって、大人になって、家庭を持って……、仕事から帰ったら、天空橋さんに「お帰りなさい、ご苦労様」って言って迎えて欲しいさ。ずっとずっと先の、本当に夢の様な話なんだけど、そんな日が来たらいいなと、僕は本気で思っている。
でも……、彼女に好きだと告白しても、彼女からこんなことを言われそうで、僕はとっても怖い。
「鈴木君とは、これからも、ずっと友だちでいましょう」
え、前は僕のことを……。
「いつの事? 今、私、XX君と付き合っているの……」
いや、勿論、そんなことを信じている訳ではない。でも、やっぱり怖いのだ。
それに、前も考えた様に、異星人警備隊の仕事をしていると、恐らくデートも儘ならないだろう。折角2人が付き合ったとしても、擦れ違いばかりでは彼女が可哀想だ……。いや、それは嘘だ。僕は自分の臆病さを、警備隊の仕事を言い訳にしているだけだ。
そうは言っても、少なくとも今の儘なら、僕は天空橋さんと話しも出来るし、一緒に帰っても貰え、今以上に僕が嫌われることはない。僕は、この小さな幸せを、今は失くしたくないのだ……。
会話していくうちに、天空橋さんは、僕が隣に来る前に見ていたネットニュースの話題を持ち出した。
「何か怖いね、また爆弾テロがあったみたいだよ。何でそんなことするんだろうね?」
「うん、僕はそれを正しいとは思わないけど、彼らも、命を賭けて訴えたいことがあるんだろうね」
以前、僕と天空橋さんは、爆弾テロで死にかけたことがある。それだけに、彼女も爆弾テロのニュースには、酷く敏感になっているのに違いない。
でも、命を捨ててでも訴えたいことって、一体何なんだろうか?
それは恐らく、恵まれた生活を送っている僕たちには、決して想像のつかないことなのだろう……。
もし、天空橋さんが誰かに殺されでもしたら、僕は絶対その相手を許してはおかないと思う。例え犯罪者になろうとも、例え自分の命を落とすとしても、その相手を殺そうとするに決まっている。
その時、犯人が死んでいたら、僕はどうするのだろうか? 犯人がどこかの星の異星人テロリストで、自爆テロでもして死んでいたら、僕は誰に復讐するのだろうか?
そのテロ組織の首領? それとも、そのテロ組織の幹部? もし、その人たちの居場所が分からなかったら、僕はその異星人の星を攻撃するのではないだろうか? 僕の憎しみは、きっと、その星の、何もしていない住民に向けられるに違いない。
そうしたら、自分の家族を僕に殺された住民は、僕を憎み、今度は地球と言う僕の星を攻撃する……のだろうな……。
そう言った憎しみの連鎖の最初って、何なんだろう? 宗教的な信念? それとも民族的な蜂起? それとも……。そう言った物の為に、人は命を賭ける闘いを始めたのだろう……。そして、多分、そう言った人たちは、命を失うより、きっと辛い思いをし続けていたのだろうな。
でも、命を賭けて闘うって……、よく言うけど、その命って誰の命なのだろう? 自分の命? それとも敵の命? それとも、全ての生き物の命?
「ずっと平和だったらいいのにね」
「そうだね……」
僕はずっと天空橋さんのことが好きだし、以前彼女も、僕のことを好きだと匂わせてくれたことがある。でも、僕はまだ彼女に告白をしていない。怖くて出来ないのだ。
そりゃ僕だって、大人になって、家庭を持って……、仕事から帰ったら、天空橋さんに「お帰りなさい、ご苦労様」って言って迎えて欲しいさ。ずっとずっと先の、本当に夢の様な話なんだけど、そんな日が来たらいいなと、僕は本気で思っている。
でも……、彼女に好きだと告白しても、彼女からこんなことを言われそうで、僕はとっても怖い。
「鈴木君とは、これからも、ずっと友だちでいましょう」
え、前は僕のことを……。
「いつの事? 今、私、XX君と付き合っているの……」
いや、勿論、そんなことを信じている訳ではない。でも、やっぱり怖いのだ。
それに、前も考えた様に、異星人警備隊の仕事をしていると、恐らくデートも儘ならないだろう。折角2人が付き合ったとしても、擦れ違いばかりでは彼女が可哀想だ……。いや、それは嘘だ。僕は自分の臆病さを、警備隊の仕事を言い訳にしているだけだ。
そうは言っても、少なくとも今の儘なら、僕は天空橋さんと話しも出来るし、一緒に帰っても貰え、今以上に僕が嫌われることはない。僕は、この小さな幸せを、今は失くしたくないのだ……。
会話していくうちに、天空橋さんは、僕が隣に来る前に見ていたネットニュースの話題を持ち出した。
「何か怖いね、また爆弾テロがあったみたいだよ。何でそんなことするんだろうね?」
「うん、僕はそれを正しいとは思わないけど、彼らも、命を賭けて訴えたいことがあるんだろうね」
以前、僕と天空橋さんは、爆弾テロで死にかけたことがある。それだけに、彼女も爆弾テロのニュースには、酷く敏感になっているのに違いない。
でも、命を捨ててでも訴えたいことって、一体何なんだろうか?
それは恐らく、恵まれた生活を送っている僕たちには、決して想像のつかないことなのだろう……。
もし、天空橋さんが誰かに殺されでもしたら、僕は絶対その相手を許してはおかないと思う。例え犯罪者になろうとも、例え自分の命を落とすとしても、その相手を殺そうとするに決まっている。
その時、犯人が死んでいたら、僕はどうするのだろうか? 犯人がどこかの星の異星人テロリストで、自爆テロでもして死んでいたら、僕は誰に復讐するのだろうか?
そのテロ組織の首領? それとも、そのテロ組織の幹部? もし、その人たちの居場所が分からなかったら、僕はその異星人の星を攻撃するのではないだろうか? 僕の憎しみは、きっと、その星の、何もしていない住民に向けられるに違いない。
そうしたら、自分の家族を僕に殺された住民は、僕を憎み、今度は地球と言う僕の星を攻撃する……のだろうな……。
そう言った憎しみの連鎖の最初って、何なんだろう? 宗教的な信念? それとも民族的な蜂起? それとも……。そう言った物の為に、人は命を賭ける闘いを始めたのだろう……。そして、多分、そう言った人たちは、命を失うより、きっと辛い思いをし続けていたのだろうな。
でも、命を賭けて闘うって……、よく言うけど、その命って誰の命なのだろう? 自分の命? それとも敵の命? それとも、全ての生き物の命?
「ずっと平和だったらいいのにね」
「そうだね……」