ナギイカダの反乱(4)

文字数 1,282文字

 翌日の土曜日、僕は東門隊員の捜査の護衛と言う任務の為、早朝から異星人警備隊本部に現れている。そこで、待っていた東門隊員の車に乗せて貰い、聖跡桜ヶ丘にある東寺方百草園と言う観葉植物のレンタル事業を専門に請け負っている会社へと向かうのだ。

 東門隊員は音楽をかけることもなく、ただ黙々と運転している。
 しかし、小島参謀みたいにずっと話続けられても困るけど、東門さんみたいに怒った様な表情で、ずっと黙っていられるのも間が持たないものだ。
「アルトロ、それにしても彼女、結構うるさ過ぎだと思わないか? 『シートベルトをきっちり締めなさい! 締めるまで、発車しませんから!』とか言っていたし……。でも、免許とかどうしたんだろう? やっぱり偽造なのかな?」
 心の中で、僕がアルトロに訊ねたのだが、彼は何も答えなかった。
「無免許なんで、危ないことして職務質問されたら困るからかな?」
 これにもアルトロは答えない。
 退屈した僕は、段々と助手席でウトウトとして、いつしか眠ってしまった様だった。

 僕が起こされたのは、東寺方百草園の駐車場に着いてからだった。
「鈴木隊員、起きなさい! 目的地に着いたわよ! もう、役に立たない護衛ね」
 僕は東門隊員にそう言われ、慌てて目を醒ました。
「あ、すみません。気を付けます!」
「危ないから、帰った方がいいんじゃない?」
「大丈夫です。命に替えても、東門隊員をお護りします」
 僕がそう言ってからだった、それまで陽気だったとは言えないが、決して怒っていた様には見えなかった東門隊員が、突然烈火の如くに怒りだしたのだ。
「ふざけたこと言わないで! あんたなんかに護って貰わなくても大丈夫よ! あんたなんかに何が出来ると言うの! 邪魔だから、引っ込んでいなさいよ!」
 正直、ここまで言わなくても良いと思う。確かに彼女は、僕のことを普通の人間だと思っているのかも知れない。でも、彼女だって知識は超人レベルかも知れないが、戦闘力は人間と変わらないじゃないか! 見た目が幾ら筋骨逞しいからって、女性じゃないか! 僕だって、女性を護るくらいの根性はある心算だ!

 ムッとした表情でのっしのっしと歩く東門隊員の後を、僕も少しムッとした表情でついて行く。
 しかし、どうして異星人ってのは、こう言うのが多いのだろう……。いや、小島参謀もアルトロも、異星人だったよな。結局、人それぞれってことか……。
 東門隊員は、東寺方百草園の建物の中に入って行き、受付でその植物の置かれている場所を確認する。
 一応、彼女と僕の訪問は連絡されており、指定の鉢物をレンタルするにあたり、事前に実物を目で確認しておきたいと言うのが、本日の訪問理由となっていたのだ。
 そうして僕たちは、担当の人の案内で、その鉢物がある温室へと入った。恐らく部屋の端に一つある、アナナスの鉢が例の植物体異星人との事なのだろう。
 温室に入ると、東門隊員は突然、香水を彼女自身、そして温室のいたるところに振りかけまわった。甘い良い香りなのだが、物凄い臭気が部屋中に充満する。
「気を付けろ、チョウ! これは催眠スプレーだ!」
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登場人物紹介

鈴木 挑(すずき いどむ)


横浜青嵐高校2年生。

異星人を宿す、共生型強化人間。

脳内に宿る異星人アルトロと共に、異星人警備隊隊員として、異星人テロリストと戦い続けている。

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