ナギイカダの反乱(5)

文字数 1,088文字

 アルトロが咄嗟に僕の呼吸を止めたので、僕は寝てしまうことだけは避けられた。だが、可哀想に東寺方百草園の担当職員の方は、その場で眠らされてしまっている。
 東門隊員は、彼を担いで、そこにあったパイプ椅子へと彼を座らせていた。

 僕はまだ頭が少し朦朧としていたので、上手く身体を動かすことが出来ない。そんな僕を尻目に、東門隊員は何やら不思議な機械を上着の内ポケットから取り出し、簡単な組み立てを始めた。
「さ、出来た」
 そう言うと、東門隊員は完成した機械を植木鉢の上に置き、少し距離をとってから尋問を始める。
「音声のレベルはいかがでしょうか? 一応、アナナスタイプの植物体異星人に合わせた心算ですが、音の高低や強弱なら多少調整が利きますので、不都合があれば言ってください」
「ふむ、儂が擬態していると分かっているとは、あんたがたは何者かな?」
 機械からは、少し年を経た老人の声が聞こえてくる。
「私は異星人警備隊の隊員です。あなたの行った殺人について、話を聞きに参りました」
「儂は殺人など犯してはおらぬ」
「でも、あなたのいた隣室で私たちの職員が殺され、犯行現場で植物体異星人の残留揮発物が検出されています」
「知らぬ!」
「では……、意に反しますが、私はあなたを拷問しなければなりません」
 おい! 何をする心算だ? 小島参謀から種族間の争いにならない様にと、念を押されているじゃないか!
 僕は東門隊員を制止しようとしたが、まだ上手く身体が動かせない。そんな中、彼女は植物体異星人の花の部分に舌を差し込み、花の蜜を舐めだしたのだ。
 僕は小島参謀の説明を思い出し、鉢に頭から突っ込んだ裸の男を想像していた。その彼が、今その先端に女性の舌を突っ込まれ、花の蜜を舐め尽くされようとしている! 何て恐ろしい拷問なんだ!
「う、う、うわぁぁぁぁ! や、止めてくれぇぇぇぇ」
「では、殺人を自供して頂けますか?」
「し、知らぬ! 私は殺していない!」
「まだ舐められ足りない様ね……」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 結局、彼はこの後直ぐに拷問に屈し、喘ぐ声で少しずつ話をし、繋げると以下となる内容を供述したのだった。

 彼は犯人ではないが、犯人の姿を目撃している。それは彼の良く知ったナギイカダタイプの植物体異星人で、そいつらが職員を殺害したのだと言う。黙っていた理由として、犯人が彼と同じ植物体異星人であったことと、異星人警備隊に近隣の異星人を売る様な真似だけは、やはり彼もしたくなかったから……と言うことらしい。
 で、犯人のナギイカダタイプの植物体異星人は、近くの関戸と言う場所のお屋敷に生えているとのことだった。
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登場人物紹介

鈴木 挑(すずき いどむ)


横浜青嵐高校2年生。

異星人を宿す、共生型強化人間。

脳内に宿る異星人アルトロと共に、異星人警備隊隊員として、異星人テロリストと戦い続けている。

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