不協和音(8)

文字数 1,101文字

 異星人警備隊内部の亀裂は、それだけに留まりはしなかった……。

 翌日のこと、僕が作戦室を出て休憩室に行こうと、途中にある階段の近くを通った時だった。階段の上の階から尋常でない話し声が響いている。僕は急ぎ階段を駆け上がった。
「港町隊員、説明してくださ~い。あなた、異星人テロリストの、仲間なので~すか?」
 そこには、ストラーダ隊員と港町隊員がいて、ストラーダ隊員が、背を向けている港町隊員に銃を向けていた。
「どうして、そんなことを?」
「星間警察機構の指名手配情報に、港町隊員らしき情報ありま~した」
「それだけで?」
「あたくし、信じられなかったで~す。だから、港町隊員の細胞、採取して~、星間警察機構に、非公式に、問い合わせていま~した。結果、指名手配犯に間違いないとのことで~す」
「だったら、どうするね?」
「許しておけませ~ん。ここで、あなたを、射殺しま~す」
 僕は彼女に駆け寄ると、咄嗟にストラーダ隊員の手首を掴み、基地内で発砲しない様に彼女の銃を下げさせた。
「何するの! 鈴木君! 邪魔しないで!」
「鳳さん、落ち着いて! 港町隊員がテロリストの訳ないじゃないですか! 何かの間違いです。もし、港町隊員が本当にテロリストなら、小島参謀が、それに気付かない訳ないです。それは、以前、既に検討した事でしょう?」
「でも、星間警察機構からは、間違いないと……」
 騒ぎを聞きつけたのか、川崎隊長や小島参謀も階段を上がってきた。
「チョウ君、サーラちゃんを早く連れて行って」
「シンディさん!」
 ストラーダ隊員が悲痛に叫ぶ。
 だが、僕は小島参謀の指示に従うことにした。決して、港町隊員を信じていた訳では無い。なんか僕自身も混乱して、何が正しいか分からなくなってしまっていたのだ。
 それに大師隊員のこともある。彼らが意図的に、港町隊員がテロリストだとの偽情報を流した可能性も無い訳ではない。
 ストラーダ隊員は、僕に羽交い絞めにされて運ばれながら、身体じゅうをバタバタさせて抵抗している。
「鳳さん、落ち着いて!」
「チョウ君、どうして止めるのよ!」
「小島参謀の指示です」
 ストラーダ隊員は、小島参謀の名前を聞いて抵抗が弱まった。小島参謀が何故、港町隊員を見逃しているのか、その答えが見出せないのだろう。彼女にしても、迷いがあるのに違いない。
「鳳さん、きっと小島参謀には、何か考えがあってのことだと思います。兎に角、今は抑えてください」
 僕がそう言うと、ストラーダ隊員の抵抗が納まった。
「チョウ君、分かったわ……」

 その日、ストラーダ隊員は、そのまま帰宅した。そして彼女には、小島参謀から一週間の自宅謹慎が命ぜられたのである。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

鈴木 挑(すずき いどむ)


横浜青嵐高校2年生。

異星人を宿す、共生型強化人間。

脳内に宿る異星人アルトロと共に、異星人警備隊隊員として、異星人テロリストと戦い続けている。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み