灰色の疑惑(8)
文字数 1,203文字
「おい、止まれと言っているだろう!」
ストラーダ隊員を捕えている異星人テロリストは、彼女の首にナイフの先端を少し突き、SPA-1に警告を発する。
だが、拙 い。SPA-1はアプリからの停止命令が無いと、直前の命令を継続し、異星人テロリストを捕えようとし続けてしまうのだ。
もし、このままSPA-1が停止しないと、自棄 を起こしたテロリストが何をするか分からない。下手をすると、鳳さんの命が危なくなる!
SPA-1に憑依する為、僕がその場で気絶しようとした瞬間だった。運良くSPA-1がハングアップを起こし、その歩みを停止した。
「よし、それでいいんだ!」
危機は一旦回避された。
テロリストとの睨み合いは続く。
異星人テロリストは、位置を壁に寄り掛かる様にずらし、僕たちの動静を探っている。僕と隊長、そして反対側でハングアップしているSPA-1を同時に視界に収める為だ。
僕と隊長は階段の途中で、彼が視線を外すなどの隙を見せないかと、テロリストを注視したまま、攻撃のチャンスを狙っていた。
「おい、お前たち、なんで私たちがアジトに突入することが分かったのだ?」
川崎隊長が、異星人テロリストに話し掛け、相手の精神集中に揺さぶりを掛けようとする。
「フフフ、さぁな。お前たちの中にスパイでもいるんじゃないのか?」
この言葉の逆襲は、川崎隊長に相当のダメージを与えた様で、隊長の動揺はもはや隠し様がなかった。
そう言えば、以前、似たような形で異星人テロリストへ情報がリークされると言うことがあったと思う。
あの時は、作戦行動から僕を外す為に彼女が仕組んだもので、別に異星人テロリストを逃がすことが目的だったとは、これまで僕は思っていなかった。
だが、実は異星人テロリストを逃がすことの方が真の目的で、僕に説明した理由は、後から付けた、彼女のこじ付けだったのではないだろうか?
そして今も、彼女がこの異星人テロリストたちを逃がす為、テレパシーか何かで、この情報をリークしたのではないだろうか?
そう、その彼女とは、疑惑の人、シンディ小島作戦参謀その人なのだ。
僕の心の中に、小島参謀に対する疑心がまたむくむくと湧き上がって来る。人はそう言う感情を一度持ってしまうと、簡単には消すことが出来ないものだ。それは僕だけでなく、川崎隊長や大師隊員も、僕以上に持っているに違いない。
「チョウ、落ち着け。今は異星人テロリストを逮捕し、ストラーダ隊員を救出することに精神を集中すべきだ。小島参謀のことは、今考えるべきじゃない!」
アルトロの助言は尤もだ。だが、じっと動かないと、考えだけが脳内で勝手に展開されていく。考えが展開されていくと、どうしても心に引っかかっていることに思考が移ってしまうんだ。
そして、このジリジリする無言劇に終止符を打ったのは、僕の頭の中でどうしても消すことの出来なかった疑惑の人物、小島作戦参謀その人だった。
ストラーダ隊員を捕えている異星人テロリストは、彼女の首にナイフの先端を少し突き、SPA-1に警告を発する。
だが、
もし、このままSPA-1が停止しないと、
SPA-1に憑依する為、僕がその場で気絶しようとした瞬間だった。運良くSPA-1がハングアップを起こし、その歩みを停止した。
「よし、それでいいんだ!」
危機は一旦回避された。
テロリストとの睨み合いは続く。
異星人テロリストは、位置を壁に寄り掛かる様にずらし、僕たちの動静を探っている。僕と隊長、そして反対側でハングアップしているSPA-1を同時に視界に収める為だ。
僕と隊長は階段の途中で、彼が視線を外すなどの隙を見せないかと、テロリストを注視したまま、攻撃のチャンスを狙っていた。
「おい、お前たち、なんで私たちがアジトに突入することが分かったのだ?」
川崎隊長が、異星人テロリストに話し掛け、相手の精神集中に揺さぶりを掛けようとする。
「フフフ、さぁな。お前たちの中にスパイでもいるんじゃないのか?」
この言葉の逆襲は、川崎隊長に相当のダメージを与えた様で、隊長の動揺はもはや隠し様がなかった。
そう言えば、以前、似たような形で異星人テロリストへ情報がリークされると言うことがあったと思う。
あの時は、作戦行動から僕を外す為に彼女が仕組んだもので、別に異星人テロリストを逃がすことが目的だったとは、これまで僕は思っていなかった。
だが、実は異星人テロリストを逃がすことの方が真の目的で、僕に説明した理由は、後から付けた、彼女のこじ付けだったのではないだろうか?
そして今も、彼女がこの異星人テロリストたちを逃がす為、テレパシーか何かで、この情報をリークしたのではないだろうか?
そう、その彼女とは、疑惑の人、シンディ小島作戦参謀その人なのだ。
僕の心の中に、小島参謀に対する疑心がまたむくむくと湧き上がって来る。人はそう言う感情を一度持ってしまうと、簡単には消すことが出来ないものだ。それは僕だけでなく、川崎隊長や大師隊員も、僕以上に持っているに違いない。
「チョウ、落ち着け。今は異星人テロリストを逮捕し、ストラーダ隊員を救出することに精神を集中すべきだ。小島参謀のことは、今考えるべきじゃない!」
アルトロの助言は尤もだ。だが、じっと動かないと、考えだけが脳内で勝手に展開されていく。考えが展開されていくと、どうしても心に引っかかっていることに思考が移ってしまうんだ。
そして、このジリジリする無言劇に終止符を打ったのは、僕の頭の中でどうしても消すことの出来なかった疑惑の人物、小島作戦参謀その人だった。