小島参謀の秘密(6)
文字数 1,502文字
小島参謀の調査結果は、一日で鳳さんが纏めて来た。
そして僕は、授業が終わると彼女の家にお邪魔し、鳳さんの家の庭にあるテラスで、彼女の説明を受けたのだ。
「シンディ小島、25才……、これは恐らく嘘ね。官房長官を務めた小島誉士夫氏の孫娘にあたり、父は統合幕僚長の小島敬三氏よ。
シンディは小島氏の長女として生まれ、横浜青嵐高校卒業後、ソルボンヌ大学に入学、大学では宇宙考古学を学んでいる。その後、同大学で博士号を取得し、昨年まで同大学の非常勤講師として勤務し、現在帰国してあたしたちの異星人警備隊の参謀を務めている。
なお、大学での彼女の専門は古代宇宙語。彼女のビッグバン以前の古代語に関する論文は、学会でも高く評価され、現在その研究の第一人者と言われているわ」
彼女は防衛大出身じゃなかったのか……。
「じゃ、そんな学者さんが何故、参謀なんかに?」
「どうやら、小島幕僚長の指示に由るものらしいわね。何故か突然、彼女は日本に呼び戻され、程なく今の職に就いているわ」
僕には、この説明にどうしても納得できない点がある。
「ストラーダ隊員、これでは、小島参謀はただの人間ってことになってしまう!」
「それも不思議なのよ……。
あたしたちの異星人警備隊メンバーは基本、戸籍が怪しいのよ。東門隊員には戸籍がないし、港町隊員は別人に成りすましている。川崎隊長親子は戸籍に改竄の跡らしき奇妙な点が数点見られる。
でも、残りの三人にはしっかりした戸籍、つまり人間としての過去があるの。あたしは人間だから当然として、鈴木君は元が人間なので何も不思議は無い……」
おい、今でも人間だぞ!
「でも、シンディさんは異星人の筈よ。何故、彼女に人間の過去があるのか? 私には全く分からない!」
「サーラちゃん、それでは30点もあげられないわね。調査不足よ」
その時、留守の筈の鳳さんの家の中から、今日は参謀会議で留守にしている筈の女性が現れ、鳳さんの調査報告にケチをつけてきた。
それは調査されている本人、シンディ小島参謀だ。
「シンディさん……、今日は留守なんじゃ?」
「鈴木君、サーラちゃんに、私が心を読めることを教えておかなかったの? サーラちゃんの陰謀、筒抜けだったわよ……」
それについてはアルトロが答える。
「教えたって、あなたならストラーダ隊員が何をしてるかなんて、分かってしまうでしょう? で、正解を教えてください。シンディ小島参謀」
小島参謀は笑いながら、僕たちの腰掛けていた、庭先の白いテーブルの空いた席に腰掛けた。そして両肘をテーブルに着けて手を組み、いかにも楽しそうな顔をその上に乗せる。
「そうね、全部は教えられないから、私が何故、異星人警備隊の仕事に関わっているかだけをお話ししようかしら?」
小島参謀は意外にも、自ら秘密を話すと言ってきた。
「それはね……、超異星人が発見されたからなのよ」
「超異星人が?」
僕は思わず大声をあげてしまった。
「そうよ。あれはね、約半年前、小惑星探査機、遺体 なの」
そう言えば、小惑星探査機が小惑星を特殊シールドで包み込み、地球にそのまま持ち帰ると言う計画が、確か昔あったな……。
「でも、『小惑星を捕獲したと思われた探査機には、残念ながら何も積まれてはおらず、計画は失敗した』とニュースで言っていましたけど……」
「実は
そして僕は、授業が終わると彼女の家にお邪魔し、鳳さんの家の庭にあるテラスで、彼女の説明を受けたのだ。
「シンディ小島、25才……、これは恐らく嘘ね。官房長官を務めた小島誉士夫氏の孫娘にあたり、父は統合幕僚長の小島敬三氏よ。
シンディは小島氏の長女として生まれ、横浜青嵐高校卒業後、ソルボンヌ大学に入学、大学では宇宙考古学を学んでいる。その後、同大学で博士号を取得し、昨年まで同大学の非常勤講師として勤務し、現在帰国してあたしたちの異星人警備隊の参謀を務めている。
なお、大学での彼女の専門は古代宇宙語。彼女のビッグバン以前の古代語に関する論文は、学会でも高く評価され、現在その研究の第一人者と言われているわ」
彼女は防衛大出身じゃなかったのか……。
「じゃ、そんな学者さんが何故、参謀なんかに?」
「どうやら、小島幕僚長の指示に由るものらしいわね。何故か突然、彼女は日本に呼び戻され、程なく今の職に就いているわ」
僕には、この説明にどうしても納得できない点がある。
「ストラーダ隊員、これでは、小島参謀はただの人間ってことになってしまう!」
「それも不思議なのよ……。
あたしたちの異星人警備隊メンバーは基本、戸籍が怪しいのよ。東門隊員には戸籍がないし、港町隊員は別人に成りすましている。川崎隊長親子は戸籍に改竄の跡らしき奇妙な点が数点見られる。
でも、残りの三人にはしっかりした戸籍、つまり人間としての過去があるの。あたしは人間だから当然として、鈴木君は元が人間なので何も不思議は無い……」
おい、今でも人間だぞ!
「でも、シンディさんは異星人の筈よ。何故、彼女に人間の過去があるのか? 私には全く分からない!」
「サーラちゃん、それでは30点もあげられないわね。調査不足よ」
その時、留守の筈の鳳さんの家の中から、今日は参謀会議で留守にしている筈の女性が現れ、鳳さんの調査報告にケチをつけてきた。
それは調査されている本人、シンディ小島参謀だ。
「シンディさん……、今日は留守なんじゃ?」
「鈴木君、サーラちゃんに、私が心を読めることを教えておかなかったの? サーラちゃんの陰謀、筒抜けだったわよ……」
それについてはアルトロが答える。
「教えたって、あなたならストラーダ隊員が何をしてるかなんて、分かってしまうでしょう? で、正解を教えてください。シンディ小島参謀」
小島参謀は笑いながら、僕たちの腰掛けていた、庭先の白いテーブルの空いた席に腰掛けた。そして両肘をテーブルに着けて手を組み、いかにも楽しそうな顔をその上に乗せる。
「そうね、全部は教えられないから、私が何故、異星人警備隊の仕事に関わっているかだけをお話ししようかしら?」
小島参謀は意外にも、自ら秘密を話すと言ってきた。
「それはね……、超異星人が発見されたからなのよ」
「超異星人が?」
僕は思わず大声をあげてしまった。
「そうよ。あれはね、約半年前、小惑星探査機、
はやぶさX
が小惑星を一つ、まるまる地球に持ち帰った時に見つけられたそう言えば、小惑星探査機が小惑星を特殊シールドで包み込み、地球にそのまま持ち帰ると言う計画が、確か昔あったな……。
「でも、『小惑星を捕獲したと思われた探査機には、残念ながら何も積まれてはおらず、計画は失敗した』とニュースで言っていましたけど……」
「実は
はやぶさX
はちゃんと長さ5メートルにもなるジャガイモ型の小惑星を捕獲して帰って来ていたわ。でも、政府と有識者は失敗したと報道することにしたの。だって、その氷の塊りの中には、超異星人の遺体が眠っていたのだもの」