天使降臨(5)
文字数 1,657文字
ヨーコはこれまで、攻撃的な動きなど一切見せていなかった。だが、銃を向けられた瞬間に、政府軍の兵士を一瞬の内に倒してしまったのだ。
ヨーコの動きは信じられないほど早く、僕の目には何が起こったのか把握できなかった。だが、ヨーコは明らかに銃を向けてきた軍兵に近づき、素早く殴り倒した様だった。
この動きはSPA-1の物に良く似ていると僕は思った。だが、僕はそれが特別な意味を持っているとまでは考えていなかった。だから、ヨーコがどんな敵であっても、SPA-1に憑依さえすれば、自分が負けることはないと僕は信じていたのだ。
「スパウノ、リアビーバ!」
僕の予想に反し、SPA-1の出現と同時にヨーコは襲いかかって来た。彼女は攻撃の意志を感じとると、即座に迎撃を開始する様に、生物的な防御システムが組み込まれているに違いない。
「SPA-1、ヨーコを倒せ!」
僕は超異星人に命令をする。だが、この様な不明確で、あやふやな命令で良かったのだろうか?
だが、そうは言っても、僕には「ヨーコを殺せ」と命じることが出来なかった。だから、こう言うしかないだろう。
僕が命じる前から、SPA-1はヨーコの攻撃に対しガードを続けていた。自動制御機構が働いていたのだろう。そして僕の命令によって、逆襲がパタンに組み入れられる。
この時、SPA-1と闘いながら、ヨーコは僕を見て誘う様に笑ったんだ。いや、確かではない。だが、僕には彼女が笑った様に見えたんだ。
僕はこの直前まで、ヨーコとは、タンパク質で形成されてはいるものの、システムとしてのみ存在する、ウィルスの様な非生物と考えていた。
だが、もしかすると、ヨーコの動きは機械的な反射などではなく、考えを持って動かされているのではないだろうか? だとすると、ヨーコは、実は生物なのかも知れない。
ヨーコが生物だと言う考えは、僕に新たな恐怖を齎した。
SPA-1の攻撃に耐えられる強度を持った異星人が、この宇宙に存在するのだ。そして、今、ここで、僕の敵として目の前に相対しているのだ。
確かに、SPA-1が存在していたと言う事実がある以上、他の超異星人が存在しないと言う保証は、もうどこにもなかった。
彼女の戦闘力は、殴り合いに関してはSPA-1と互角、この為、光線砲を撃つ余裕などは与えて貰えなさそうだ。だが一方、彼女が触れてもSPA-1が銀髪の女性になることも無い様だった。
それでも、ヨーコは僕を見ていた。SPA-1と闘いながらだ。
余裕があるのとは違うと思う。何か無理して僕を誘っている様だった。何となく僕も、それに応えたくなった。
「アルトロ、行くぞ!」
僕はアルトロと共に憑依した。
僕の目の前にいるのは、美しい女性の闘士だ。それもSPA-1と互角の力を持った。
僕はこれまで、SPA-1にさえ憑依すれば、どんな相手にでも負けることは無いと信じていた。今、その保証はない。目も前にいるのは、SPA-1と同じ超異星人だ。
確かに僕の強度は、彼女の攻撃に耐え得るだけの硬さはある。速度も互角だった。だが技術が違っていた。彼女の攻撃も、単発なら僕にもガードできる。だが、攻撃やガードで体勢が崩れると、次の攻撃は防げなかった。
反対に彼女は攻撃の後も、ガードの後も大きく体勢が崩れない。僕にはヨーコに有効な攻撃が出来なかった。
実際は一分弱位だったろうか、僕は結局尻餅を搗かされ、ヨーコは目の前に仁王立ちで立っている。僕は逆転を狙って、右手の指を伸ばして剣に変えた。これで下から突きあげるのだ!
しかし、それも彼女には読まれていた様で、僕が剣で突くより早く、ヨーコは後方に飛び去っていた。僕は若干無駄とは思いつつ、光線砲の構えを取る。
予想通り僕は、光線砲など撃つことが出来なかった。ヨーコは微笑んだまま、その場の空気に溶ける様に掠 れていって、そのまま消えてしまったのである。
僕も、ゆっくりを構えを解いて立ち上がり、その状態で憑依を解除した。
ヨーコと僕の闘いは、今回は、ここまでだ……。
ヨーコの動きは信じられないほど早く、僕の目には何が起こったのか把握できなかった。だが、ヨーコは明らかに銃を向けてきた軍兵に近づき、素早く殴り倒した様だった。
この動きはSPA-1の物に良く似ていると僕は思った。だが、僕はそれが特別な意味を持っているとまでは考えていなかった。だから、ヨーコがどんな敵であっても、SPA-1に憑依さえすれば、自分が負けることはないと僕は信じていたのだ。
「スパウノ、リアビーバ!」
僕の予想に反し、SPA-1の出現と同時にヨーコは襲いかかって来た。彼女は攻撃の意志を感じとると、即座に迎撃を開始する様に、生物的な防御システムが組み込まれているに違いない。
「SPA-1、ヨーコを倒せ!」
僕は超異星人に命令をする。だが、この様な不明確で、あやふやな命令で良かったのだろうか?
だが、そうは言っても、僕には「ヨーコを殺せ」と命じることが出来なかった。だから、こう言うしかないだろう。
僕が命じる前から、SPA-1はヨーコの攻撃に対しガードを続けていた。自動制御機構が働いていたのだろう。そして僕の命令によって、逆襲がパタンに組み入れられる。
この時、SPA-1と闘いながら、ヨーコは僕を見て誘う様に笑ったんだ。いや、確かではない。だが、僕には彼女が笑った様に見えたんだ。
僕はこの直前まで、ヨーコとは、タンパク質で形成されてはいるものの、システムとしてのみ存在する、ウィルスの様な非生物と考えていた。
だが、もしかすると、ヨーコの動きは機械的な反射などではなく、考えを持って動かされているのではないだろうか? だとすると、ヨーコは、実は生物なのかも知れない。
ヨーコが生物だと言う考えは、僕に新たな恐怖を齎した。
SPA-1の攻撃に耐えられる強度を持った異星人が、この宇宙に存在するのだ。そして、今、ここで、僕の敵として目の前に相対しているのだ。
確かに、SPA-1が存在していたと言う事実がある以上、他の超異星人が存在しないと言う保証は、もうどこにもなかった。
彼女の戦闘力は、殴り合いに関してはSPA-1と互角、この為、光線砲を撃つ余裕などは与えて貰えなさそうだ。だが一方、彼女が触れてもSPA-1が銀髪の女性になることも無い様だった。
それでも、ヨーコは僕を見ていた。SPA-1と闘いながらだ。
余裕があるのとは違うと思う。何か無理して僕を誘っている様だった。何となく僕も、それに応えたくなった。
「アルトロ、行くぞ!」
僕はアルトロと共に憑依した。
僕の目の前にいるのは、美しい女性の闘士だ。それもSPA-1と互角の力を持った。
僕はこれまで、SPA-1にさえ憑依すれば、どんな相手にでも負けることは無いと信じていた。今、その保証はない。目も前にいるのは、SPA-1と同じ超異星人だ。
確かに僕の強度は、彼女の攻撃に耐え得るだけの硬さはある。速度も互角だった。だが技術が違っていた。彼女の攻撃も、単発なら僕にもガードできる。だが、攻撃やガードで体勢が崩れると、次の攻撃は防げなかった。
反対に彼女は攻撃の後も、ガードの後も大きく体勢が崩れない。僕にはヨーコに有効な攻撃が出来なかった。
実際は一分弱位だったろうか、僕は結局尻餅を搗かされ、ヨーコは目の前に仁王立ちで立っている。僕は逆転を狙って、右手の指を伸ばして剣に変えた。これで下から突きあげるのだ!
しかし、それも彼女には読まれていた様で、僕が剣で突くより早く、ヨーコは後方に飛び去っていた。僕は若干無駄とは思いつつ、光線砲の構えを取る。
予想通り僕は、光線砲など撃つことが出来なかった。ヨーコは微笑んだまま、その場の空気に溶ける様に
僕も、ゆっくりを構えを解いて立ち上がり、その状態で憑依を解除した。
ヨーコと僕の闘いは、今回は、ここまでだ……。