異星人警備隊(1)
文字数 1,067文字
僕の乗ったバスが急停車した。
僕を始め、立っていた者は皆前に倒れそうになり、座っていた人の何人かも前の座席の背凭れに頭をぶつけた様だった。
バスの運転手は慌てて外へ飛び出し、轢かれたであろう怪我人の状況を確かめようとしている。
怖いもの見たさと言うのだろうか、事故の状況と怪我人の有様を見ようと、僕はフロントガラス越しに外の人の動きをずっと眺めて続けていた。
その時、僕の胸ポケットの携帯がメールの到着を知らせ、バイブレーションを始めた。
僕はその内容を確かめる。
そう、思った通りだ。
「早く降りて! 面接に遅れるぞ」
そう書かれたメールは、予想通り僕から出された物だった。差出人が僕。宛先も僕。
僕は昨日からこの不思議なメールに悩まされている。
勿論、僕にはそれを打った記憶がない。だけど、それは他の携帯から僕のメアドで出されたものではなく、間違いなく僕の携帯から出されたものであった。少なくとも送信履歴はそう証明している。
僕は自分自身が二重人格になって、もう一人の自分が僕にメールを打っているのだとそれを解釈した。
だが、それにしても彼は何者だろう?
実はこの面接も彼の指示に拠るものであった。彼はまだ高校生の僕に、就職面接に行くように指示してきたのである。
そう言えば、僕はバスに乗る前に小学生位の女の子に突然声を掛けられた。
彼女が言うには「お兄ちゃん、面接を受けちゃ駄目だよ。恐ろしい目に遭うよ」とのことだった。
僕は突然見知らぬ少女に声を掛けられた驚きで、何も言葉を返せなかったが、考えてみれば、何故、少女は僕が面接に行くことを知っていたのだろう?
僕の目に突然、驚きの光景が映し出された。事故に遭ったのは、僕に忠告してきたあの少女であったのだ。
血まみれになった少女は、担架で救急車へと乗せられていった。周りからは「可哀想だけど、もう助からない」と言う声が聞こえている。そして「突然、バスの前に飛び出したんだって」とも、誰かが言っていた。
「おい、早く降りろ。女の子の命を犠牲にしてででも、君を面接に行かせまいとしているんだ」
僕の携帯メールがそう言っている。
「おい! どう言うことだ!」
僕はもう一人の僕に心の中で訊ねた。それに対し、彼はメールで答えてきた。
「見ての通りさ。君の乗った乗物を遅らせる為なら、どんな犠牲も厭わないらしい」
もし、それが事実なら、少女が轢かれたのは僕のせいと言うことになる。
そして、このメールの発信者も、間違いなく僕と言うことになる。僕の心の中の質問に、他人が答えられる訳がないからだ。
僕を始め、立っていた者は皆前に倒れそうになり、座っていた人の何人かも前の座席の背凭れに頭をぶつけた様だった。
バスの運転手は慌てて外へ飛び出し、轢かれたであろう怪我人の状況を確かめようとしている。
怖いもの見たさと言うのだろうか、事故の状況と怪我人の有様を見ようと、僕はフロントガラス越しに外の人の動きをずっと眺めて続けていた。
その時、僕の胸ポケットの携帯がメールの到着を知らせ、バイブレーションを始めた。
僕はその内容を確かめる。
そう、思った通りだ。
「早く降りて! 面接に遅れるぞ」
そう書かれたメールは、予想通り僕から出された物だった。差出人が僕。宛先も僕。
僕は昨日からこの不思議なメールに悩まされている。
勿論、僕にはそれを打った記憶がない。だけど、それは他の携帯から僕のメアドで出されたものではなく、間違いなく僕の携帯から出されたものであった。少なくとも送信履歴はそう証明している。
僕は自分自身が二重人格になって、もう一人の自分が僕にメールを打っているのだとそれを解釈した。
だが、それにしても彼は何者だろう?
実はこの面接も彼の指示に拠るものであった。彼はまだ高校生の僕に、就職面接に行くように指示してきたのである。
そう言えば、僕はバスに乗る前に小学生位の女の子に突然声を掛けられた。
彼女が言うには「お兄ちゃん、面接を受けちゃ駄目だよ。恐ろしい目に遭うよ」とのことだった。
僕は突然見知らぬ少女に声を掛けられた驚きで、何も言葉を返せなかったが、考えてみれば、何故、少女は僕が面接に行くことを知っていたのだろう?
僕の目に突然、驚きの光景が映し出された。事故に遭ったのは、僕に忠告してきたあの少女であったのだ。
血まみれになった少女は、担架で救急車へと乗せられていった。周りからは「可哀想だけど、もう助からない」と言う声が聞こえている。そして「突然、バスの前に飛び出したんだって」とも、誰かが言っていた。
「おい、早く降りろ。女の子の命を犠牲にしてででも、君を面接に行かせまいとしているんだ」
僕の携帯メールがそう言っている。
「おい! どう言うことだ!」
僕はもう一人の僕に心の中で訊ねた。それに対し、彼はメールで答えてきた。
「見ての通りさ。君の乗った乗物を遅らせる為なら、どんな犠牲も厭わないらしい」
もし、それが事実なら、少女が轢かれたのは僕のせいと言うことになる。
そして、このメールの発信者も、間違いなく僕と言うことになる。僕の心の中の質問に、他人が答えられる訳がないからだ。