小島参謀の秘密(5)
文字数 1,338文字
僕は正直、アルトロの指示に納得がいかなかった。彼女は確かに謎の多い不思議な女性だ。だが、彼女の冗談交じりの口調の中には、自分たちへの愛情が込められていると僕は思っている。
それについては、鳳さんも「異星人でなければ、これ程素敵な人はいない。彼女を疑うなんてあり得ない」と、僕とアルトロにこんな話をしてくれていた。
「ゲームソフトを買ったばかりなのに、そんなのもう要らないからって、新しいソフトが欲しいと、あたしが我儘を言った時のことなの。新しいソフトが欲しかったのは間違いないのだけど、あたしはむしろ、あのシンディさんの怒った顔が見てみたかったのよ」
しかし、鳳さんってゲーマーだったんだ……。
「実の親子なら『前のソフト買ったばかりなのに我儘言わないの!』って、怒るところでしょう? でも、おざなりに『買ってやればいいや』って、あたしの我儘を許すかもって……。あたしは、どちらかだと思ったわ」
確かにあれだけのお金持ちだし、鳳さんは実の娘という訳では無いのだから、彼女が我儘に育とうが関係ない。だから「そんな事で文句を言う必要もない」って、何も言わずにソフトの一本位買い与えるかも知れないな。
「そしたら、『あらあら、新しいソフトが欲しくなっちゃたの?』って、あたしは『ほら、来た』って思ったわ。でもね、シンディさんは『買ってあげてもいいけど、ちょっとだけ話を聞いてくれるかな?』って言うの。
そこでシンディさんは、あたしに、こんな話をしてくれた……。
『ゲームって、プレイヤーがキャラクターに為り切って遊ぶもんじゃない? 戦士になったり、スポーツ競技者になったり……。
だからゲームって、プレイヤーがキャラクターにシンパシーを感じなきゃ駄目よね。もっと簡単に言うと、プレイするキャラクターを好きになった方が絶対楽しいわよね。
私思うの、プレイヤーがキャラクターを好きになれたのなら、キャラクターもプレイヤーのことをきっと好きになってくれていると。繋がりって、そう言うものだもの……。
でも、新しいゲームが出たからって、そのゲームを捨ててしまうプレイヤーを、キャラクターの方は本気で好きになれるのかしら? 私だったら、そんな程度の浮ついた気持ちのプレイヤーなんて、絶対に好きになれないけどな……』って。
あたし感動しちゃった! シンディさんって、ゲームのキャラクターのことを、ここまで考えてる、真のゲーマーなんだって!」
まぁ鳳さんのゲーマーとしての感動は、僕にはどうでもいいのだけど……。
ただ、小島参謀は決して鳳さんのことを、単なる預かり娘とは思っていないことは間違いない様だった。
「でも調べてみる。それでシンディさんのことが分かるのなら……」
鳳さんはそう言った。でも別の意味でも、僕はこの調査をすべきではないと思う。
「アルトロ、小島参謀は人の心を読める。もし鳳さんに参謀の調査なんかさせたら、何を調べているかなど、参謀には直ぐに分かるんだ。そしたら、彼女が危険じゃないか!」
だが、アルトロは僕にこう答えたのだった。
「恐らく、彼女は調べていることを知ったとしても何もしない。むしろ、彼女は自分では話さないが、私たちに調査して欲しがっている。私には何故かそう思えるんだ……」
それについては、鳳さんも「異星人でなければ、これ程素敵な人はいない。彼女を疑うなんてあり得ない」と、僕とアルトロにこんな話をしてくれていた。
「ゲームソフトを買ったばかりなのに、そんなのもう要らないからって、新しいソフトが欲しいと、あたしが我儘を言った時のことなの。新しいソフトが欲しかったのは間違いないのだけど、あたしはむしろ、あのシンディさんの怒った顔が見てみたかったのよ」
しかし、鳳さんってゲーマーだったんだ……。
「実の親子なら『前のソフト買ったばかりなのに我儘言わないの!』って、怒るところでしょう? でも、おざなりに『買ってやればいいや』って、あたしの我儘を許すかもって……。あたしは、どちらかだと思ったわ」
確かにあれだけのお金持ちだし、鳳さんは実の娘という訳では無いのだから、彼女が我儘に育とうが関係ない。だから「そんな事で文句を言う必要もない」って、何も言わずにソフトの一本位買い与えるかも知れないな。
「そしたら、『あらあら、新しいソフトが欲しくなっちゃたの?』って、あたしは『ほら、来た』って思ったわ。でもね、シンディさんは『買ってあげてもいいけど、ちょっとだけ話を聞いてくれるかな?』って言うの。
そこでシンディさんは、あたしに、こんな話をしてくれた……。
『ゲームって、プレイヤーがキャラクターに為り切って遊ぶもんじゃない? 戦士になったり、スポーツ競技者になったり……。
だからゲームって、プレイヤーがキャラクターにシンパシーを感じなきゃ駄目よね。もっと簡単に言うと、プレイするキャラクターを好きになった方が絶対楽しいわよね。
私思うの、プレイヤーがキャラクターを好きになれたのなら、キャラクターもプレイヤーのことをきっと好きになってくれていると。繋がりって、そう言うものだもの……。
でも、新しいゲームが出たからって、そのゲームを捨ててしまうプレイヤーを、キャラクターの方は本気で好きになれるのかしら? 私だったら、そんな程度の浮ついた気持ちのプレイヤーなんて、絶対に好きになれないけどな……』って。
あたし感動しちゃった! シンディさんって、ゲームのキャラクターのことを、ここまで考えてる、真のゲーマーなんだって!」
まぁ鳳さんのゲーマーとしての感動は、僕にはどうでもいいのだけど……。
ただ、小島参謀は決して鳳さんのことを、単なる預かり娘とは思っていないことは間違いない様だった。
「でも調べてみる。それでシンディさんのことが分かるのなら……」
鳳さんはそう言った。でも別の意味でも、僕はこの調査をすべきではないと思う。
「アルトロ、小島参謀は人の心を読める。もし鳳さんに参謀の調査なんかさせたら、何を調べているかなど、参謀には直ぐに分かるんだ。そしたら、彼女が危険じゃないか!」
だが、アルトロは僕にこう答えたのだった。
「恐らく、彼女は調べていることを知ったとしても何もしない。むしろ、彼女は自分では話さないが、私たちに調査して欲しがっている。私には何故かそう思えるんだ……」