別世界からの侵略「後編」(2)
文字数 1,395文字
その扉の中には、確かに鎧武者の様な恐ろし気な戦士が、二人並んで待っていた。
「ほう、其方 たちが侵入者か? 宇宙船内とは言え、時空外で行動できるとは其方 らは大悪魔。それも此処 まで来るとは、相当の実力を持った大悪魔に違いあるまい」
敵の片方が日本語で語りかけてきた。
「日本語ではない。悪魔語だ。この肉体に残る記憶が、それをチョウ君にも分かる様に通訳しているのだ」
僕の心の中で、別の意思が解説してくれる。
「人間方に大悪魔が居ったとは、我らにも意外であった」
「それは残念だったわね」
「だが、其 れも此処 まで、皇帝陛下には指一本触れさせはしない!」
「あなたがた程度の悪魔が、私たちに本気で勝てると思ってんの?馬鹿 じゃない?」
相変わらず小島参謀は強気だ。しかし、この部屋は……。
「笑止千万! 悪魔の能力無しに、どう闘うの言うのだ?」
どうやら、この部屋全体が結界になっていて、悪魔の特殊能力って奴を根こそぎ無効にしているらしい。入ってきた扉も、悪魔の能力が無いと、内側からは開くことが出来ない様だ。
「試してみる?」
「良かろう……」
こうして僕と小島参謀は、敵の近衛兵と思われる鎧武者と2対2で闘うことになったのだ。
僕は考える……。
「だが結局、この闘いは1対1だ。奴は鎧で武装し、刀を持っているので、自分に勝機があると思っているのだろう。だが、どっこい僕にはアルトロの力がある。悪魔の能力の使えない世界では、僕の方が有利に違いないんだ!」
僕は隣をちらりと見た。
「だが、小島参謀はどうだろう? 参謀は確かに強力な悪魔の力の持主かも知れない。でも、特殊能力がなければ、単なる
僕の心の中で、別の意思がそれに反論する。
「あいつを甘く見ない方がいいね。確かに、あいつは通常の悪魔の十倍以上の能力を持っている。だが、それとは別に、あいつはこの時空を含めた大宇宙の中でも、屈指の大魔法使いなんだ。悪魔の能力は個人の力 に限られているけど、魔法の力の源はエネルギー総量の異なる別次元と結合されることで、エントロピーが急速低下し、高い攻撃性を実現しているのだ。つまり、悪魔の能力よりも魔法の力の方が、遥かに高い攻撃力を有していると言うことさ」
正直、僕には何のことやらさっぱりだ。
「悪魔の能力では、右手の熱を左手にのみ移動する様にして、右手を超低温、左手を超高温にするのだけど、魔法では呪文を唱えるだけで、より高温の攻撃や低温の攻撃を、もっと簡単に実現できると言うことさ」
「はぁ……」
「ま、あいつはチート級、バランス崩壊レベルの強さってことさ。それより、チョウ君は、自分の心配をした方がいいと思うよ」
「?」
「これは武道の団体戦では無いんだよ。あくまで戦場なんだ。あいつと闘っている敵が君を攻撃するかも知れないし、君が闘っている敵があいつを攻撃するかも知れない。だから、もう一方の敵の位置もしっかりと把握しておく必要があるし、自分の相対している敵が、あいつを狙う様な事が無い様に、常に警戒しておく必要がある。だが、逆に君の方からあいつの敵を攻撃するのも反則って訳じゃない。
それを頭に入れておけば、この敵は君が負ける相手では無いね」
お墨付きを頂いた僕は、向かってくる鎧武者の一人に剣法家の様な構えを取って、迎え撃つことにした。
「ほう、
敵の片方が日本語で語りかけてきた。
「日本語ではない。悪魔語だ。この肉体に残る記憶が、それをチョウ君にも分かる様に通訳しているのだ」
僕の心の中で、別の意思が解説してくれる。
「人間方に大悪魔が居ったとは、我らにも意外であった」
「それは残念だったわね」
「だが、
「あなたがた程度の悪魔が、私たちに本気で勝てると思ってんの?
相変わらず小島参謀は強気だ。しかし、この部屋は……。
「笑止千万! 悪魔の能力無しに、どう闘うの言うのだ?」
どうやら、この部屋全体が結界になっていて、悪魔の特殊能力って奴を根こそぎ無効にしているらしい。入ってきた扉も、悪魔の能力が無いと、内側からは開くことが出来ない様だ。
「試してみる?」
「良かろう……」
こうして僕と小島参謀は、敵の近衛兵と思われる鎧武者と2対2で闘うことになったのだ。
僕は考える……。
「だが結局、この闘いは1対1だ。奴は鎧で武装し、刀を持っているので、自分に勝機があると思っているのだろう。だが、どっこい僕にはアルトロの力がある。悪魔の能力の使えない世界では、僕の方が有利に違いないんだ!」
僕は隣をちらりと見た。
「だが、小島参謀はどうだろう? 参謀は確かに強力な悪魔の力の持主かも知れない。でも、特殊能力がなければ、単なる
か弱い
女性だ。恐らく剛力を持っているだろう鎧武者に、本当に勝つことが出来るのだろうか?」僕の心の中で、別の意思がそれに反論する。
「あいつを甘く見ない方がいいね。確かに、あいつは通常の悪魔の十倍以上の能力を持っている。だが、それとは別に、あいつはこの時空を含めた大宇宙の中でも、屈指の大魔法使いなんだ。悪魔の能力は個人の
正直、僕には何のことやらさっぱりだ。
「悪魔の能力では、右手の熱を左手にのみ移動する様にして、右手を超低温、左手を超高温にするのだけど、魔法では呪文を唱えるだけで、より高温の攻撃や低温の攻撃を、もっと簡単に実現できると言うことさ」
「はぁ……」
「ま、あいつはチート級、バランス崩壊レベルの強さってことさ。それより、チョウ君は、自分の心配をした方がいいと思うよ」
「?」
「これは武道の団体戦では無いんだよ。あくまで戦場なんだ。あいつと闘っている敵が君を攻撃するかも知れないし、君が闘っている敵があいつを攻撃するかも知れない。だから、もう一方の敵の位置もしっかりと把握しておく必要があるし、自分の相対している敵が、あいつを狙う様な事が無い様に、常に警戒しておく必要がある。だが、逆に君の方からあいつの敵を攻撃するのも反則って訳じゃない。
それを頭に入れておけば、この敵は君が負ける相手では無いね」
お墨付きを頂いた僕は、向かってくる鎧武者の一人に剣法家の様な構えを取って、迎え撃つことにした。