別世界からの侵略「前編」(9)
文字数 1,169文字
天空橋さんは空を見上げていた。天空橋さんだけじゃない。穴守一也も、糀谷光も、いやクラスの全員、担任の先生、いや青嵐高校全校生徒、先生がた、教頭先生、校長先生まで、みんな僕と鳳サーラさんが闘っていることを知っていた。
小島家の家政婦の兼子さんが伝えたのだろうか? それとも鳳さんか小島さんが、みんなに自分たちが闘いに旅立つことを話したのだろうか?
その時、ニュースは、人類は脅しに屈することなく、大悪魔皇帝に対し徹底抗戦するとのことをトップで伝えていた。だが、人類が彼らに対し、どの様に戦うのか? 具体的な策が提示されておらず、それを危惧する有識者も少なからず存在していたらしい。
みんなには見えたのだろうか? 有識者には見えたのだろうか? 天文学者には見えたのだろうか?
僕たちの攻撃に依って、大きく開いていた時空の裂け目がもう直ぐ閉じようとしていることを。
敵の大船団が退路を断たれ、巣が壊された蟻たちの様に、宇宙を右往左往しているであろうことを。
天空橋さんは、僕の為にきっと祈ってくれているだろう。僕は彼女を信じている。そして彼女も僕を信じてくれているに違いない。
そうさ、僕は帰ったら、天空橋さんに全てを話すんだ。異星人警備隊のことも、アルトロのことも、SPA-1に憑依して闘っていたことも、SPA-1も小島参謀も、今侵略している大悪魔と同じ一族だったと言うことも、でも、二人とも僕たちの味方だったってことも、そして、僕は天空橋さんのことが大好きだってことも。
そうしたら、約束を果たそう。覚えているかな? 天空橋さんは忘れているかもしれない。忘れていたって、もう一度約束するんだ。天空橋さんと。一緒に暮らす約束を。
だから……、だから……。
僕は絶対生きて帰るんだ……。
僕と小島参謀は、敵の旗艦の後方部、かなり下の方にある一室へと瞬間移動していた。
参謀は、その悪魔的な能力によって、敵の位置や強弱を把握することが出来るらしい。
敵の多くは旗艦には存在せず、小間使いと思われる人間数名と、近衛兵の様な比較的強い大悪魔が二名、そして大したことないが、全く動こうとしない大悪魔が一名。どうやら、これが大悪魔皇帝らしいとのことだった。
僕と小島参謀は、迷うことなく皇帝の間へと進んで行く。不思議なことは無い。参謀は人の心が読めるのだ。ガードの薄い小間使いの心を読んだのに違いない。それで彼女らと同様の土地勘とでも言うべき感覚を、瞬時に身に着けてしまっているのだと思う。
そして、僕たちは一つの大きな扉の前に辿り付いた。
「チョウ君、この扉の向うに近衛兵らしい敵が二名いる。そのうち一人は私が倒す。もう一人はチョウ君に任せるから、頼んだわよ」
小島参謀はそう言うと、その両開きで重厚そうな、装飾の見事な大理石の扉を押し開いたのだった。
小島家の家政婦の兼子さんが伝えたのだろうか? それとも鳳さんか小島さんが、みんなに自分たちが闘いに旅立つことを話したのだろうか?
その時、ニュースは、人類は脅しに屈することなく、大悪魔皇帝に対し徹底抗戦するとのことをトップで伝えていた。だが、人類が彼らに対し、どの様に戦うのか? 具体的な策が提示されておらず、それを危惧する有識者も少なからず存在していたらしい。
みんなには見えたのだろうか? 有識者には見えたのだろうか? 天文学者には見えたのだろうか?
僕たちの攻撃に依って、大きく開いていた時空の裂け目がもう直ぐ閉じようとしていることを。
敵の大船団が退路を断たれ、巣が壊された蟻たちの様に、宇宙を右往左往しているであろうことを。
天空橋さんは、僕の為にきっと祈ってくれているだろう。僕は彼女を信じている。そして彼女も僕を信じてくれているに違いない。
そうさ、僕は帰ったら、天空橋さんに全てを話すんだ。異星人警備隊のことも、アルトロのことも、SPA-1に憑依して闘っていたことも、SPA-1も小島参謀も、今侵略している大悪魔と同じ一族だったと言うことも、でも、二人とも僕たちの味方だったってことも、そして、僕は天空橋さんのことが大好きだってことも。
そうしたら、約束を果たそう。覚えているかな? 天空橋さんは忘れているかもしれない。忘れていたって、もう一度約束するんだ。天空橋さんと。一緒に暮らす約束を。
だから……、だから……。
僕は絶対生きて帰るんだ……。
僕と小島参謀は、敵の旗艦の後方部、かなり下の方にある一室へと瞬間移動していた。
参謀は、その悪魔的な能力によって、敵の位置や強弱を把握することが出来るらしい。
敵の多くは旗艦には存在せず、小間使いと思われる人間数名と、近衛兵の様な比較的強い大悪魔が二名、そして大したことないが、全く動こうとしない大悪魔が一名。どうやら、これが大悪魔皇帝らしいとのことだった。
僕と小島参謀は、迷うことなく皇帝の間へと進んで行く。不思議なことは無い。参謀は人の心が読めるのだ。ガードの薄い小間使いの心を読んだのに違いない。それで彼女らと同様の土地勘とでも言うべき感覚を、瞬時に身に着けてしまっているのだと思う。
そして、僕たちは一つの大きな扉の前に辿り付いた。
「チョウ君、この扉の向うに近衛兵らしい敵が二名いる。そのうち一人は私が倒す。もう一人はチョウ君に任せるから、頼んだわよ」
小島参謀はそう言うと、その両開きで重厚そうな、装飾の見事な大理石の扉を押し開いたのだった。