天使降臨(7)
文字数 1,426文字
小島参謀は、残りのジュースを一気に自分の喉に流し込み、僕に向かって笑顔で軽く会釈する。
「あら、奇遇ね」
「参謀も、寝付けないんですか?」
「ま、そんなところね。あいつを退治する方法を、頭の中でシミュレーションしていたのよ」
「へぇ~、そんなの可能なんですか?」
僕はヨーコの強さを目の当たりにしていたので、思わずそう口にしてしまう。
だがこれは、かなり失礼な物言いだ。僕は言ってしまった後に後悔する。しかし、小島参謀の方は、一向に気にしていない様子であった。
「ちょっと、不可能なのよね。憑依できる人でもいなけりゃ……。折角だから、聞いてくれる? 実現不可能な作戦を……」
小島参謀は、何が言いたいんだ?
「ヨーコはなかなかの強敵よ。私の想定以上ね。真っ当に戦っても殺せるものじゃないわ。だから、私はヨーコを時空の外に追い返そうかと思っているの」
「そんなの、倒すより大変なことじゃないですか?」
「あれを自由に操ることが出来れば、決して難しくないわ。あれは時空の外から来たものみたいだから、時空の裂け目を自分で作って移動出来る筈よ。ヨーコ自身にその裂け目を作らせて、以後、裂け目が作れない様に、それを作る能力を自ら封印し、自分で裂け目に入って貰うの。完璧でしょう?」
「絶対無理じゃないですか。ヨーコを自由に操るなんて、そんなの!」
「そうよねぇ~、ヨーコに憑依でも出来ればいいんだけどね~~。ヨーコは戦闘力は高いけど、精神の力はまだ未完成の様に見えるわ。だから、憑依が出来る人がいたら、簡単なんだけどね~」
小島参謀、それって、僕とアルトロがSPA-1に憑依してるってことを知ってて言ってる? そして、ヨーコへの憑依を僕たちにやれって言ってる?
「じゃ、私は先に戻って寝るね。チョウ君も、飲むもの飲んだら寝るのよ。じゃぁね~~」
小島参謀はそう言って、そのままスタスタと参謀専用のスイートルームに戻って行った。
ま、僕と違って参謀は豪華なベッドで寝てるんだろうな……。そう言えば、そこにはストラーダ隊員も寝ている筈だ。羨ましいもんだね。
「チョウ、どうする?」
「どうするも、こうするも。あれ、作戦指示だろう? 命令に従うしかないじゃんか……」
「確かに……。それに今からじゃ、どう足掻いても、ヨーコより武術が強くなれるとはとても思えないしね」
「ところで、ヨーコに憑依なんて可能なのかい? だって、あいつ遺体じゃなくて、生きてんだぜ。肉体にまだ意識があったら不可能なんじゃないの?」
「多分可能なんじゃないかな。現に我々はSPA-1に憑依しているからね」
「ま、やるしかないか……」
僕はそう心の中で呟くと、飲もうと思っていたブラックの缶コーヒーを止めて、ホットチョコレートを買うことにした。ま、大した違いは無いと思うんだけど、僕はコーヒーより寝付きが良さそうな気がしたのだ。
ヨーコが次に出現したのは、銀座での応酬の十日後、場所は意外にも一般人の居住がない日本最東端の三角形の島、南鳥島であった。
態々日本の、それも人口の殆どない場所をヨーコが選んだと言うのは、もう明確に異星人警備隊、いや、SPA-1への挑戦と考えていいだろう。
世界政府の対応として、付近の海軍艦を集結させてはいるが、現時点、まだヨーコへの攻撃は始められていない。下手な砲撃は、南鳥島自身の消滅に繋がり兼ねないと判断しているらしいのだ。
僕たちは、直ちに、ヌディブランコ1号で現地へと向かうことになった。
「あら、奇遇ね」
「参謀も、寝付けないんですか?」
「ま、そんなところね。あいつを退治する方法を、頭の中でシミュレーションしていたのよ」
「へぇ~、そんなの可能なんですか?」
僕はヨーコの強さを目の当たりにしていたので、思わずそう口にしてしまう。
だがこれは、かなり失礼な物言いだ。僕は言ってしまった後に後悔する。しかし、小島参謀の方は、一向に気にしていない様子であった。
「ちょっと、不可能なのよね。憑依できる人でもいなけりゃ……。折角だから、聞いてくれる? 実現不可能な作戦を……」
小島参謀は、何が言いたいんだ?
「ヨーコはなかなかの強敵よ。私の想定以上ね。真っ当に戦っても殺せるものじゃないわ。だから、私はヨーコを時空の外に追い返そうかと思っているの」
「そんなの、倒すより大変なことじゃないですか?」
「あれを自由に操ることが出来れば、決して難しくないわ。あれは時空の外から来たものみたいだから、時空の裂け目を自分で作って移動出来る筈よ。ヨーコ自身にその裂け目を作らせて、以後、裂け目が作れない様に、それを作る能力を自ら封印し、自分で裂け目に入って貰うの。完璧でしょう?」
「絶対無理じゃないですか。ヨーコを自由に操るなんて、そんなの!」
「そうよねぇ~、ヨーコに憑依でも出来ればいいんだけどね~~。ヨーコは戦闘力は高いけど、精神の力はまだ未完成の様に見えるわ。だから、憑依が出来る人がいたら、簡単なんだけどね~」
小島参謀、それって、僕とアルトロがSPA-1に憑依してるってことを知ってて言ってる? そして、ヨーコへの憑依を僕たちにやれって言ってる?
「じゃ、私は先に戻って寝るね。チョウ君も、飲むもの飲んだら寝るのよ。じゃぁね~~」
小島参謀はそう言って、そのままスタスタと参謀専用のスイートルームに戻って行った。
ま、僕と違って参謀は豪華なベッドで寝てるんだろうな……。そう言えば、そこにはストラーダ隊員も寝ている筈だ。羨ましいもんだね。
「チョウ、どうする?」
「どうするも、こうするも。あれ、作戦指示だろう? 命令に従うしかないじゃんか……」
「確かに……。それに今からじゃ、どう足掻いても、ヨーコより武術が強くなれるとはとても思えないしね」
「ところで、ヨーコに憑依なんて可能なのかい? だって、あいつ遺体じゃなくて、生きてんだぜ。肉体にまだ意識があったら不可能なんじゃないの?」
「多分可能なんじゃないかな。現に我々はSPA-1に憑依しているからね」
「ま、やるしかないか……」
僕はそう心の中で呟くと、飲もうと思っていたブラックの缶コーヒーを止めて、ホットチョコレートを買うことにした。ま、大した違いは無いと思うんだけど、僕はコーヒーより寝付きが良さそうな気がしたのだ。
ヨーコが次に出現したのは、銀座での応酬の十日後、場所は意外にも一般人の居住がない日本最東端の三角形の島、南鳥島であった。
態々日本の、それも人口の殆どない場所をヨーコが選んだと言うのは、もう明確に異星人警備隊、いや、SPA-1への挑戦と考えていいだろう。
世界政府の対応として、付近の海軍艦を集結させてはいるが、現時点、まだヨーコへの攻撃は始められていない。下手な砲撃は、南鳥島自身の消滅に繋がり兼ねないと判断しているらしいのだ。
僕たちは、直ちに、ヌディブランコ1号で現地へと向かうことになった。