『満』の想い
文字数 914文字
「えっ、あっ、うん。」
「叔母さんのこと、いつまでも忘れないで
あげてね。」
「忘れたことはないよ。
小さい頃だったから、あんまり覚えてない
けど。。。
僕は、叔母さんのことがとっても好き
だったらしいよ。
今でも好きだよ。」
「いつか、『ニーナ』とまた逢えると
いいね。」
「うん。でも何か実感がなくて。。。
自分の結ばれる相手がもう決まってるって
どうなのかな?」
「えっ、それって、とっても
疑問よ。」
「そうかな?」
「そうよ。
だって、それって、それこそ≪運命の人≫
ってことでしょ?」
「≪運命の人≫か。。。」
「この世の中、本当に縁のある人と結ばれ
ている人って少ないそうよ。」
しばらく二人のやり取りを聞いていた
導光は、
「『輝羽』。
必ずしも縁があるからいい。。。
そういうものでもないんだよ。」
「どうして?」
「縁というものは、自ら創るものでもある
んだ。
縁のある人を探すことばかりに
はなく、新たに縁を
んだ。」
「ふ~ん。」
「『満』君のその疑問は、自分の結婚相手
は自分で決める。
≪運命の人≫だからといってその人を選ぶ
とは限らないってことだろ?」
「そっ、そうです。
まさしくそのとおりです。
縁がどうとか、運命がどうとかではなく、
自分で決めたいんです。」
「そうかな?
私は、出逢えた方がいいけどな。。。
≪運命の人≫。。。
お父さん。
私の≪運命の人≫ってどんな人?」
「そっ、それは。。。
いくら私でもわからないよ。」
「どうして?
だって、お父さんはお母さんと出逢った
時、この人と絶対に結婚するって思ったんで
しょ。
それって≪運命の人≫ってことじゃない。」
「お父さんの話はいいよ。
『輝羽』もいつか出逢えるんじゃないか。
きっと。。。」
『輝羽』は、ちょっとご
そんなちょっとムカついている娘を横目で
見ながら、導光は、いつか自分の手元から
離れていくであろう娘のことを考えると、心
淋しくなるのであった。
「今日は、ありがとうございました。
とってもいい経験をさせてもらいました。
じゃあ、僕はこれで失礼します。」
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