届け、感謝の想い
文字数 616文字
二日後に控えた日。
『マニュエル』は、やっと二人の結婚祝い
であるハートの宝石箱を完成させた。
時々『アレン』に教えてもらいながら、
自分なりに心を込めて精一杯作り上げた最高
の贈り物となった。
(どうしても
これを二人に受け取ってほしい。)
結婚式に間に合うように二人に贈りたかっ
たハートの形をした木製の宝石箱。
山で見つけた様々な樹木。
その自然な色合いをうまく生かして濃淡を
考えながら組み合わせて作った。
箱の側面は、幾何学模様と花模様が交差し
た美しい連続柄を描いている。
ハートの形をした
の彫刻が施され、それが見事に浮き彫りにな
っている。
その
『マニュエル』
明日。
夜が
にした。
家の裏口のドアノブに宝石箱と手紙を入れた
袋を掛けてくる。
この間、『アレン』にはその場所に掛けて
おくと伝えておいた。
「兵士が見張っている可能性がある。
だから来ないでほしい。
君の気持ちだけで嬉しい。」
『マニュエル』のことを想う『アレン』の
言葉。
でも、命を救ってくれた唯一の友の一生に
一度の晴れの日。
どうしても贈り物を届けたかった。
いつも支えてくれる友のために自分ができる
恩返し。
お金のない自分に出来る感謝のしるし。
心を込めた想いの
それがこれだったから。
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