結婚祝いのプレゼント
文字数 721文字
された赤いルビーの指輪をとても大切にして
いた。
それは婚約指輪。
『アレン』が左手の薬指にその指輪をはめ
てくれたと言ってとても喜んでいた。
毎年『ニーナ』の誕生日には、必ず手作り
のアクセサリーをプレゼントしていた
『アレン』。
一昨年は木彫りの薔薇のペンダント。
昨年は木彫りの蝶のブローチ。
そして今年は、ハートの形の宝石箱を
プレゼントするつもりだと言っていた。
それを聞いて以来、『マニュエル』は、
その胸にずっとある想いを抱いてきた。
そしてついに『アレン』にその想いを打ち
明けたのである。
「『アレン』、そのハートの宝石箱。
私に作らせてくれないか?」
「えっ?」
「『アレン』のように
けど、二人の結婚祝いに私からプレゼント
したいんだ。」
「本当に? じゃあ頼むよ。
どんな宝石箱になるのか、今からとても
楽しみだよ。」
「君にはとてもかなわないけど、精一杯
心を込めて作るよ。」
「ありがとう。
僕は手作りの贈り物に勝るものはないと
思っているんだ。
世界に一つしかないからね。」
「そうだよね。
心のこもった手作りの物は、一番価値が
あると思う。
どんなに高価な宝石よりも。」
「『マニュエル』は、本当に素晴らしい
ことを言うね。
僕もそういう考えなんだ。
将来子供が生まれたら、その子に受け継ぎ
たい。
そして孫、ひ孫と何代にも渡ってずっと大切
に受け継いでいってもらえたら幸せだな。」
「結婚式に間に合うように作るから。
難しいところは時々教えてもらいに来るよ。
その時はご指導の方、よろしくお願い
します。 『アレン』親方!」
「おいおい。
親方はやめてくれよ。
『アレン』でいいよ。」
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