決行の日
文字数 495文字
手紙を入れ、夜が
頭の中には、この贈り物を『アレン』に届
けることしかなかった。
(もし兵士に見つかり、捕まって
しまったら。。。)
それはもう怖くはなかった。
贈り物を届けることさえできれば、
自分はもう捕まろうと殺されようとどうでも
よかった。
自分の未来を心の中で描いたことなど
ただの一度もない。
描けない。
この先、自分が生き続けることに何の意味
があるのか。
すでに捨てていた命。
そして救われた命。
支えてくれた人がいたから、ここまで何とか
生きてこられた。
でももういい。
彼が幸せになってくれさえすれば。
自分はきっと。。。
その日まで、その日までと割り切って生き
てきた気がする。
死に行く前に、支えてくれた友に自分が出来
る精一杯のお礼がしたかった。
こんな自分が言えることではないが、
せめて私が歩みたかった人生を『アレン』に
は歩んでほしい。
愛する人と結ばれ、共に支え合って生きて
いってほしい。
『アレン』への感謝の想いと叶えられなか
った夢をこの宝石箱に託し、最後の日を迎え
たかった。
だから何としても届ける。
この贈り物を。
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