届かなかった感謝の想い
文字数 400文字
てきた。
「この家の方ですか?」
『マニュエル』にはすぐにわかった。
この男が村人を装った町の兵士だと。
「何か私にご用ですか?」
「実は、人を探していまして。
失礼ですが、ちょっと確認させていただけ
ませんか?
その人物の額には傷があるんですが。
念のため、前髪で隠れている額を見せて
ください。」
この辺りで張っていたもう一人の仲間の
兵士がこちらにやって来るのが見えた。
捕まるのは怖くはなかった。
でも、ここで騒ぎを起こせば『アレン』に
迷惑がかかる。
おそらく自分をかくまっていたことも知ら
れてしまう。
兵士が近づき、『マニュエル』の額に
触れようとした時。
『マニュエル』は逃げた。
この場をすぐ去るために。
逃げる『マニュエル』を二人の兵士が
追いかけようとしたその瞬間。
一人の兵士の腕を後ろから
うとしている男性がいた。
『アレン』だった。
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