作者から読者のみなさまへ

文字数 3,162文字

 【神様からの贈り物】シリーズ第二弾
≪花鳥の巻 その一≫、いかがでしたか?

 まえがきでお伝えした私の想いが、
みなさまに伝わりましたでしょうか?



 本来なら、人々を助けながらも幸せな人生
を歩めるはずだった『マニュエル』。

 『サタン』の執拗(しつよう)なまでの(みにく)嫉妬(しっと)
怨念(おんねん)の犠牲となり、『マニュエル』の運命
は、『サタン』によって悲惨なものへと塗り
替えられてしまいました。

 ここでは、敵国に売られてからスパイと
して養成されるまでの『マニュエル』の人生
をあえて詳細に語ってはおりませんが、読者の
みなさまなら、『マニュエル』がどのような
人生を送らなければならなかったのか、
きっとそれを想像することができるのではな
いでしょうか?




 「「自分は、《神》に見捨てられている。
だからこんな人生なのだ。。。」」

 真実を知らないまま、そう悲観し、絶望し
ながらも周囲の人々を助け、敵国で生き抜い
てきた『マニュエル』の強さ。

 その強さは、人の命というものが、いかに
(とうと)いものかを『マニュエル』の魂が転生しな
がら学んできた証。



 自分を(まも)るだけで精一杯の世界。


 周りは、みな敵。


 誰一人として信頼できる人がいない恐ろし
い世界で、恐怖と孤独に押し(つぶ)されそうにな
りながらも、けっして人々の命を奪わず、人々
を助けることを(あきら)めなかった『マニュエル』
の尊い信念は、(すさ)んでしまった人々の心を
太陽のように暖かい光で包んでいきました。



 ≪貧困≫。



 貧しいがゆえ、子どもを売る。

 その行為は、どのような理由であれ、
けっして許されることではない。

 それは、誰しもがわかること。

 しかし、『マニュエル』の父親のように、
子どもを手放さざるを得なかった親の事情も
全く理解できないわけでもないでしょう。


 一体どこまで悲惨な状況になれば、
≪貧困≫と言えるのか。

 『マニュエル』の父親は、本当に子どもを
売らなければならないほど追い詰められてい
たのか。

 物語の中で、『マニュエル』が、その
かつての父親にぶつけていた怒り。

 その『マニュエル』の叫びが真実である
なら、『マニュエル』の父親は、どんなに
()いても、どんなに『マニュエル』に()びて
も、その罪からはけっして(のが)れることはでき
ないでしょう。



 その時。


 もし『マニュエル』の立場であれば、
自分はどうしたのか?


 もし『マニュエル』の父親の立場で
あれば、自分はどうしたのか?



 答えは出るでしょうか?



 作者の私自身、その答えを出すことは
できません。



 犯してしまった罪というものは、完全に
(つぐな)えるものではない。

 例え相手が許すと言っても、それで解決
できるものでもないでしょう。



 なぜなら、それは、相手の心からは一生、
いいえ、魂が何度も転生するということなら
ば、永久に消えないということになるから
です。

 身体(からだ)に負った傷以上に、心に負った傷と
いうものは消えないもの。


 家族だけが。。。

 家族のことを想い続けることだけが、
唯一の生きがいであった『マニュエル』に
とって、信じていた家族に裏切られてしまっ
た。。。見捨てられてしまった。。。という
事実を突きつけられた時の、その衝撃はどれ
ほどのものであったのか。



 それは、『マニュエル』にしかわからない
でしょう。




 しかしながら、前述しましたように、
『マニュエル』の尊い信念は、周囲の人々に
影響を与え、次第に壊れかけていた人々の心
を修復していきます。

 そして、その『マニュエル』の人柄に心打
たれた人々によって『マニュエル』は救われ
るのです。



 生きていく上で大切なもの、必要なものも
人それぞれ。


 何に価値を見い出して生きていくのか。

 何があれば幸せなのか。

 満足なのか。

 それも人それぞれです。


 生きていくためには、もちろんお金も
必要。

 この世の中、お金がなければ生きていけな
いのも事実です。


 では、一体どれほどのお金があれば幸せだと
感じるのか。


 「あればあるだけいい。。。」

 ほとんどの人々はそう思うでしょう。



 ならば、お金さえあれば幸せなのか。

 確かにそう思う人もいるでしょう。

 しかし、ほとんどの人々は、

「いいえ。お金だけではけっして幸せには

なれない。」

 そう答えるのではないでしょうか?


 ある人は、「健康第一。」と答え、
ある人は、「家族が大切。」と答え、
またある人は、「仕事が一番。」と答える
でしょう。




 『マニュエル』が、救われた理由。

 それは、『マニュエル』の信念。

 ≪人を信じ、人を理解し、人を助ける≫。


 『マニュエル』が、一番大切にしていた
ものは、その信念。


 『マニュエル』に救われた人々が
『マニュエル』を救ったのは、お金と引き換
えでもなく、誰かに頼まれたわけでもない。

 『マニュエル』の優しさ、素晴らしさ、
そして、自分を犠牲にしてでも救ってくれよう
とする《慈愛の念》。


 これに心打たれて『マニュエル』を救って
いったのです。


 言い換えれば、『マニュエル』にとって
一番大切な財産は、自分自身。


 生まれながらに持っている崇高で尊い魂
こそが、『マニュエル』を救った唯一無二の
財産ということでしょう。






 さて。。。

 ≪花鳥の巻 その一≫に続きまして、次回
からは≪龍火月(りゅうかつき)の巻 その一≫を掲載いたし
ます。

 掲載は、おおむね九月を予定しております。

 ≪花鳥の巻 その一≫の中で、
『赤いバラの花の女神 マリア』が予言
した通り、≪龍火月(りゅうかつき)の巻 その一≫では、
祈祷師、昇龍 導光の娘、『輝羽』が転機を
迎えます。



 『輝羽』が迎えるべき転機。

 それは、昇龍家に代々伝わる≪神託≫でも
あります。


 ≪神託≫とは、ひと言で言えば、《神》
から託される言葉。

 《神》の(めい)により、《神》に代わって
成し遂げるべき使命。



 それが、≪神託≫。


 『輝羽』にまつわる≪神託≫とは、
いったいどのようなものなのか。



 鍵を握るのは、《(つき)》。


 今までまったく関心がなかった《月》が
気になり始めた『輝羽』。

 その《月》こそが、(さかのぼ)ること千三百年前に
生きていた『輝羽』の前世と深い関わりが
あったのです。


 『輝羽』は、無事に転機を迎えることが
できるのか。


 そして、その転機を紐解(ひもと)き、試練を乗り
越えることができるのか。


 『輝羽』の母、『澄子(すみこ)』も、滞在先の
イギリスから帰国し、『輝羽』の応援に
駆けつけます。

 両親の助けを借り、『輝羽』が一体どのよ
うな転機を迎え、それをどう乗り越えていく
のか。

 乗り越えた先に、『輝羽』に待ち受けてい
るものとは。。。



 桜の《神》、『桜守』も待ち望んでいる
この『輝羽』の転機。



 読者のみなさま。

 どうぞ『輝羽』のこと、最後まで応援して
あげてくださいね。



 「あっ、『(めい)』さん。

 ちょっといいですか?」

 「えっ? どなた?」

 「私です。『昇龍 輝羽』です。」

 「まあ。。。『輝羽』ちゃん。

 お久しぶりです。」

 「ご無沙汰しております。『明』さん。

 私からも読者のみなさまに申し上げても

よろしいでしょうか?」

 「もちろん! どうぞ。。。」

 「それでは、お言葉に甘えて。


 読者のみなさま。

 祈祷師、昇龍 導光の娘、『昇龍 輝羽』

です。

 『マリア』から予言された転機がどのよう

なものなのか。

 私にも、まだわかりません。

 ですが、私。。。絶対にこの試練を乗り

越えて見せます。

 なぜだか、この試練を乗り越えた先に、

私が一番大切にしていた何かが待っていて

くれているような気がしてならないんです。


 不安もありますが、両親が応援してくれる

ので、しっかりと成すべきことを成す。。。

この精神で精一杯やります。


 どうか、読者のみなさま。

 私、『輝羽』のこと、応援よろしくお願い

いたします。」

 「ありがとうございました。

 『輝羽』ちゃん。」


 作者の私からも、再度お願いいたします。

 『輝羽』ちゃんのこと、絶対に、絶対に
最後まで応援してあげてくださいネ。



 二○二三年 七月  瑞浹(ずいしょう) (めい)

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登場人物紹介

昇龍 導光《しょうりゅう どうこう》


代々続く祈祷師の家系に生まれた。昇龍家第四十八代当主。五十歳。

非常に高い霊能力を持つ。

ダンディで背が高く、スポーツマン。 

物腰柔らかで一見祈祷師には見えない。

導光が愛するものは何といっても龍と家族そしてスイーツ。

持って生まれた類まれなる霊能力と格の高い魂で、様々な視えざる存在と対峙しながら

迷える人々を幸福へ導くことを天命の職と自覚し、日々精進を重ねるまさに正統派の祈祷師。

昇龍 輝羽《しょうりゅう てるは》


導光の娘。ニ十歳。 

聖宝德学園大学 国際文化学部二年生。両親譲りの非常に高い霊能力の持ち主。

自分の霊能力をひけらかすこともなく、持って生まれたその力に感謝し、

将来は父のような祈祷師になりたいと思っている。

龍と月に縁がある。

龍を愛する気持ちは父の導光に劣らない。

穏やかな性格だが、我が道を行くタイプ。

自分の人生は自分で切り拓くがモットーで、誰の指図も受けないという頑固な面がある。 

浄魂鳥《じょうこんちょう》ケツァール   /   マニュエル


普通の人には見えない、いわゆる霊鳥。

五百年前、『マニュエル』という名の人間としてある国に生きた前世を持つ。

あまりにも壮絶な過去を背負ったがために転生できず、

ある想いを果たすため『浄魂鳥』としてこの世に存在し、

その時をずっと待ち続けてきた。

花畑 満《はなばたけ みちる》 / アレン


二十歳。『輝羽』と同じ大学で同じ学部の同級生。

日本人離れした端正な顔立ちの美男子。

五百年前、人間であった『浄魂鳥』と同じ村に住んでいた『アレン』という名の若者の前世を持つ。

十五年前に亡くなった叔母の遺言がすべてを明らかにするカギを握る。

野原 美咲《のばら みさき》/ 満の伯母 


十五歳。聖宝德学園大学付属中学三年バラ組。

十五年前に亡くなった『花畑 満』《はなばたけ みちる》の叔母の前世を持つ。

その時の記憶を持ったまま生まれてきた。

『満』《みちる》同様日本人離れした顔立ちの超美人。積極的な性格。

赤いバラの花の女神 マリア


とにかく美しいものが大好きな女神。

導光の元を訪れ、ある国にいる『浄魂鳥』を日本に連れて来てほしいと依頼する。

すべての出来事はこの依頼から始まった。

その『浄魂鳥』の想いを果たすことができれば、自分が見護っていたある人も

幸せになれるのだと導光に訴える。

白いバラの花の男神 ローマ


『赤いバラの花の女神 マリア』の許婚《いいなずけ》。

いつも『マリア』に振り回されている『マリア』一筋の男神。

ある事情で結婚を先延ばしにされてしまう。

天の神から頼まれ、導光の家に届け物をする。

それは『浄魂鳥』と深い関わりのあるものなのだが。。。

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