逃げろ、生きろ、『マニュエル』
文字数 883文字
彼は、彼は悪くないんだ。」
「離せっ。」
『アレン』の手を振り切ろうとする兵士に
『アレン』は言った。
「彼が殺してしまったのは実の家族。
家族だとは知らずに国の命令でそうせざる
を得なかった。
あなたならどうする?
あなたが彼の立場なら。
彼の父は
資産家の養子になれると
息子の彼を仲介人に託した。
それが敵国のスパイだとも知らずに。
お願いだ。
彼を見逃してあげてほしい。
一番苦しんでいるのは彼なんだ。。。」
『マニュエル』は、逃げながら何度も
振り返り、『アレン』が兵士に
いる姿を見ていた。
(どうして。。。
どうしてそこまでして私のことをかばって
くれるんだ。
『アレン』。。。
『アレン』。。。
そんなことをしたら君が捕まる。
君が罪を犯すことになる。
お願いだから、もう私のことは放っておい
てくれ。
自分をもっと大切にしてほしい。。。)
心の中で、そう叫びながら『マニュエル』
は逃げた。
『アレン』を救うこともできず、ただ逃げる
しかない無力な自分を責めながら。
「その手を離せっ。」
『アレン』を兵士が
「いやだ。」
「お前は敵をかばうのか?」
「敵じゃない。この国の
「国を
国の人々を殺すヤツがこの国の民だと?
ふざけるな。
ヤツにとって祖国はこの国のはずだ。
よりによってその祖国に舞い戻って
人殺しをするとは。。。
なんて
ええぃ。。。 離せっ。
離さないならお前も殺す。
ヤツはもうお
裏切り者に待っているのは死だ。」
「お願いだ。助けてやってくれ。
彼は。。。」
「うるさい。 黙れっ。」
兵士はそう言うと、『アレン』を突き飛ば
し、持っていた剣を『アレン』目がけて振り
かざした。
剣は、『アレン』の首から胸にかけて
上半身を斜めに滑るように切り裂き、
『アレン』はその場に倒れた。
「敵をかくまった
兵士はそう言うと、倒れた『アレン』を
足で
追いかけて行った。
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