夢の中の弟
文字数 397文字
貧しい頃は、クリスマスなんてなかった。
毎日その日を生きていくので精一杯。
それが今は。。。
兄の心はいつも揺れていた。
自分たちの今があるのはすべて弟のおかげ。
弟が養子に行ってくれたからこそ得られた
富そして財。
兄は時々弟の夢を見ることがあった。
それはいつも同じ夢。
夢の中に出てくる弟は、悲しそうな表情で
こちらを見つめている。
そしてその表情は、次第に恐ろしい
変わり、涙を流しながら何かを叫んでいる。
いったい何と叫んでいるのか。
驚いたことに、その弟の手には剣が握られ
ているのだった。
どんなに忙しくても必ず家族で一緒に食事
をすることを習慣にしていたその一家。
使用人たちは
の準備で大忙しだった。
そろそろ夕方。
その準備も万端のようだ。
厨房からは、何とも言えない料理のいい匂
いが漂ってきた。
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