紐解かれた宝石箱の謎
文字数 854文字
「それにしてもこの男の子。。。
あっ、やっと思い出した。
あの時の。。。
実は、私が《神》より依頼を受け、
≪ブルガリア≫という国まで道案内をした
女性にそっくりなんですよね。」
チラチラと『満』の顔を横目で見ながら
そう言った。
「道案内?」
導光がそう言うと、
「ええ。」
その時、『ローマ』は『満』の近くにある
テーブルの上にあった宝石箱を見つけ、
「あっ、それっ。
その宝石箱。
私は、その女性がその宝石箱を受け取るた
めに、≪ブルガリア≫の木工職人の家まで
その女性を案内したのです。
『マニュエル』という名の人間が亡くなっ
たあと、この宝石箱は、彼の胸の上に大切に
《神》は、その宝石箱を、ある木工職人の
元に運ぶよう私に指示されたのです。
私は単なる運び手。
言わばトランスポーター。
のちに《神》からのメッセージが、
その木工職人の元に届けられたそうです。
かつてその女性は、現在の≪ブルガリア≫に
生まれ、事情があって受け取るはずだった
その宝石箱を受け取ることができずに亡くな
ってしまったと聞いています。
『ニーナ』だと教えてくれました。」
『ローマ』は、過去の記憶を
『満』の伯母の道案内をした時のことを思い
出しながら、そう説明したのである。
「そうだったのか。
いったいどうやって『満』君の伯母さんが、
宝石箱の持ち主の元までたどり着けたのか、
やっと謎が解けたぞ。」
次第に明らかになっていく過去の真実。
その真実を
には、『マニュエル』と出会ってからずっと
抱いていた一つの大きな疑問が渦巻いていた
のである。
(おかしい。 どう考えても変だ。
こんなに素晴らしい魂を持っている
『マニュエル』が、どうしてこんな悲惨な
人生を歩まなければならなかったんだ。
私にはどうしてもわからない。
。。。。。。。。
きっと何かある。
誰も知らない隠された
はずだ。)
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